2004 Fiscal Year Annual Research Report
昭和30年代借地・借家法改正についての実証的研究-戦後社会の変貌への対応
Project/Area Number |
16530059
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
小柳 春一郎 獨協大学, 法学部, 教授 (00153685)
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Keywords | 不動産賃貸借 / 物権化 / 都市構造の変化 / 抵当権 / 正当事由 |
Research Abstract |
本研究は,昭和30年代に行われた借地・借家法改正作業を再検討する。法務省は,我妻栄特別顧問を中心に昭和31(1956)年5月から借地借家法改正作業を進め,昭和34(1959)年末に「借地借家法改正案要綱試案」を発表した。しかし,これは借地権物権化を提唱したため相当の抵抗があり,昭和37(1962)年からは緊急改正が必要な事項に絞って検討を進め,昭和41(1966)年の借地法等改正に結実した。本研究は,試案での借地権物権化の狙いはどこにあったのか,実現しなかったのは何故か,借家権については物権化の構想がなく,債権としての位置づけが維持されていたのはなぜか,当時予定された借地借家紛争処理機関にはどのような特徴があったかを明らかにするものである。 これに関して,科研費交付を得て当時の多数の借地借家法草案,関連文書,協議会記録及び当時の反響等の資料整理を行うことができた。その成果として,当時の改正作業の大きな流れを明らかにした論文を発表した(単著・獨協法学64号掲載)。借地権物権化は借地権の譲渡・転貸・抵当を可能にするためであり,その背景としては都市不燃化のための建物建て替えが当時の建設省から要請されていたことにあったこと,また,法務省サイドとしても当時借地借家事件が当時の地裁事件の2割以上を占めたため,簡易な紛争解決制度を要望していたことを資料に基づき明らかにした。これを当時の一般的な土地政策の中に位置づけたのが,著書(共著)としての『日本の土地法-歴史と現状』である。また,借地・借家法改正を含めた法制審議会の活動についての論文をカナダ・ラヴァル大学の法律雑誌に投稿し,雑誌責任者から審査合格の連絡を得た。審査の際の修正要望に対応した原稿を改めて送付し,すでに印刷部局に原稿が回送された(単著・Les Cahiers du droit46巻2号(7月刊行)掲載予定)。
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Research Products
(3 results)