2005 Fiscal Year Annual Research Report
子の監護事件の統合的解決と法的判断基準の確立に関する研究
Project/Area Number |
16530060
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
常岡 史子 獨協大学, 法学部, 教授 (50299145)
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Keywords | 民法 / 家事審判法 / 人事訴訟法 / 離婚 / 親権 / 監護権 / 面接交渉 / ドイツ |
Research Abstract |
「子の監護事件」に関する前年度の研究結果に基づき、本年度は、家庭裁判所での具体的な事件処理における判断基準について、(1)離婚時の親権者・監護者指定((a)母性優先、(b)継続性、(c)兄弟姉妹の不分離、(d)養育環境の比較、(e)子の意思の尊重、(f)面接交渉の許容性)、(2)離婚後の親権者・監護者変更((a)消極的要素の評価、(b)子の意思の尊重)、(3)子の引渡し請求((a)親権者対非親権者、(b)親権者対監護者)、(4)面接交渉((a)子の年齢、(b)子の心身の状況、(c)子の意思の尊重(親の意向との関連づけを含む))という観点から、日独の比較研究を行った。そこでは、日本の調停・審判例の分析をもとに、(1)から(4)についての横断的な考察を試み、民法の規定する「子の利益」の本質と、その実現に向けての法制度と裁判所の役割について検討した。 また、夏期休業期間を利用して、ドイツ(フライブルク大学外国法・国際私法研究所を拠点とする)において大学関係者、法律実務家らとの意見交換を実施するとともに、資料の補完を行った。日本とドイツでは、家庭裁判所の仕組み、法律と裁判官の裁量との関係等について当然相違はあるものの、「子の利益」を監護事件の中核とする指向と、その場合に生起する問題点や解決方法について、共通する課題が多数存在する。本研究では、ドイツの現状を再把握することで、わが国での問題解決についても意義ある示唆と知見を獲得することができた。これらの研究の成果については、わが国における子の監護事件の統合的解決の可能性についての提言として、紀要等に公表する予定である。
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Research Products
(1 results)