2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530072
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
門田 孝 広島大学, 大学院・法務研究科, 教授 (20220113)
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Keywords | ヨーロッパ法 / EU法 / EC法 / ヨーロッパ人権条約 / 欧州人権条約 / 財産権 / 移民問題 |
Research Abstract |
平成16年度は、EUにおける人権保障の重層的構造を解明するための端緒として、ヨーロッパ法一般、および個別領域としては、財産権保障と移民問題に関する基礎資料の収集と分析を行った。 1.ヨーロッパ法の構造分析 主としてEC法および欧州人権条約と締約国国内法との関係一般についての議論を整理し、EC法の国内法に対する優位、欧州人権条約と国内法との関係、EC法と欧州人権条約との関係などを、基礎文献をもとに分析した。また、EU憲法の制定をめぐる議論など、新しい動きについても、資料を収集して検討を試みた。 2.ヨーロッパにおける財産権保障および移民問題の研究 個別領域では、財産権保障と移民問題に焦点を当て、基礎資料をもとに、ヨーロッパ法における保障のあり方と問題点を探った。締約国国内法との関連では、前者については、ドイツ法、後者については、ドイツ法とオーストリア法が主たる研究の対象となったが、それ以外のEU加盟国についても若干の検討を行った。財産権については、財産権の理解の仕方およびその制約法理に関する、欧州司法裁判所、欧州人権裁判所、およびドイツの連邦憲法裁判所を中心とした国内裁判所の判決について、それぞれの特徴と相互の関係についての分析が中心となった。移民問題については、特に退去強制の問題を中心に、ドイツとオーストリアの国内法制および判決の分析・検討を行なったが、ヨーロッパ・レベルでの移民問題も検討し、日本との比較考察も試みた。 3.その他 上記の研究テーマに関連した研究会等に出席し、情報収集と意見交換を行った。これらを通じて得られた知見をもとに、さらに研究を発展させ、具体的成果として公表するのが平成17年度の課題である。
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