Research Abstract |
平成16年度については,欧州統合に伴う国民国家(EU加盟国)の「欧州化」,および,ヨーロッパ,ナショナル(国家),サブナショナル(地域)という3つのレヴェルによる「多層ガヴァナンス」についての理論研究,および,労働党政権の下で達成されたスコットランド,ウェールズ,北アイルランド,ロンドンに対する権限移譲プロセスについての整理,という2つの研究課題の遂行に重点をおいて検討した。 平成16年11月には,イングランド北東地域において地域議会設置の是非を問う住民投票が行われたが,この住民投票の結果,北東地域における地域議会設置に対する反対が多数を占めることとなり,労働党政権によるイングランド諸地域に対する権限移譲の一環としての地域議会設置の動きは,一旦停止を余儀なくされることになった。このような住民投票結果を受けて,本年度後半の研究では,住民投票前には比較的住民に支持されていた地域議会設置の提案が,なぜ否決されるにいたったのか,そして,この結果が労働党政権の権限移譲改革に対してどのようなインパクトを与えたのかという点について検討を進めることになった。 なお,上記の検討を進めるために,平成17年3月21日より14日間,ロンドンを中心としてイギリスを訪問し,2大政党本部や各種団体本部において資料収集を行う予定である。また,この期間中に,イングランド北東地域選出の下院議員に対するインタビューを行い,権限移譲改革に対する賛成論と反対論の主たる内容,および,対立点について認識を深めることにしている。
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