2005 Fiscal Year Annual Research Report
メキシコとブラジルにおけるローカルな共有型分権化モデルの新たな実験
Project/Area Number |
16530093
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
松下 冽 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (50229465)
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Keywords | 参加型予算 / シナジー型戦略 / 熟議民主主義 / ブラジル労働者党 / サリーナス政権 / 市民同盟 / 民主的分権化 / 公共空間 |
Research Abstract |
本年度(平成17年)の研究実績の第1は、ブラジルにおけるローカルな政府へのブラジル労働者党の参加型政策、とりわけポルト・アレグレ市の事例を取り上げ、参加型政策(典型的には参加型予算)がブラジルの民主主義の定着・深化と権力の性格の民主的変容に如何に関わってきたのかを考察した。この成果は、『立命館国際研究』(18巻3号)で公表した。 研究課題の中心的概念である「ローカルな共有型分権化」は、単なる地方分権化ではなく、広い意味でナショナルなレベルとローカルなレベルでの「国家-社会」関係の変容を伴う。この視点から「ローカルな共有型分権化」を理論的に把握することは、本研究課題を発展させるための基本的作業である。以上の認識から生まれた研究実績が、『立命館国際研究』(18巻2号)である。 第3の研究実績は、近年、注目を浴びている「国家-市場-市民社会」関係へのパートナーシップ・アプローチを本研究が強い関心を寄せる「シナジー型戦略」理論との比較で検討した。この成果が編著書(2006年)である。上記の第2,第3研究実績は、本研究課題の理論的視点を確定する点で重要な研究プロセスと考えられる。 本年度の以上の研究実績を踏まえて、次年度は集中的にメキシコとブラジルにおけるローカルな共有型分権化の実態を調査・分析する。メキシコについては、昨年夏の調査でメキシコ・シティーの住民運動に関する資料をかなり収集できた。本年は大統領選挙も行われるのでメキシコ・シティーに加え、若干の州の分権化の実態と展望を調査したい。また、昨年度に訪問・調査したポルト・アレグレおよびサンパウロについても、再度、訪問し本格的な調査をしたい。ブラジルでは、Institute for Applied Economic Research (IPEA)およびサンパウロ大学の研究者と交流を維持できている。また、メキシコに関しては、多数の研究者の協力を得ることができる。
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Research Products
(3 results)