2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530115
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大西 広 京都大学, 経済学研究科, 教授 (50176955)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 匡 久留米大学, 経済学部, 教授 (70258383)
|
Keywords | 最適成長論 / 新古典派 / マルクス / 過剰蓄積 / 搾取 / 資本貸借 / 階級 / 本源的生産要素 |
Research Abstract |
本年度の主要な作業は、これまでばらばらに行なわれてきた本プロジェクトをまとめることにあったため、特に「最終報告書」の冒頭論文としてまとめたものが最大の成果といえる。研究代表者・研究協力者以外の協力も得て、我々が開発した「マルクス派最適成長論モデル」は様々な方面に拡張され、またそれらがひとつの全体をなしつつある。が、そうした全体像は「最終報告書」にゆずり、次ページの「研究発表」の対象となる平成18年度の発表3論文についてのみ解説すると次のようになる。 まず、第一のOhnishi & Roxiangul論文は産業革命によって資本主義が発生し、またその資本蓄積の終了後に共産主義社会が到来することを明らかとした基本モデルを農業革命と知識革命という新たな状況の説明に拡張、基本的にはそれらもまた同様の特徴を持つとともに、知識革命が引き起こす社会的影響の途上国と先進国における相違、「知識」が非排除的であったり収穫一定であったりすることによる性質の相違を明らかとした。 また第二の大西論文は、社会全体として見た際の本源的な生産要素が労働のみである場合には、長期に成長が定常化するが、そうでない場合にはしない。あるいは、その場合には階級分裂と搾取が解消するが、そうでない場合は解消しない。あるいは、この帰結は階級間の時間選好率が同一の場合のみに言えることで、そうでない場合には言えないことを明らかとした。ここで「労働のみが本源的生産要素である」との定義は、我々のモデルでは「労働価値説モデル」であるとの意味である。 最後に第三の松尾論文は、我々のモデルがひとつの前提とするマルクス=置塩の定理に対する吉原直毅氏の批判に対する反批判となっている。我々の研究を継続するに必要なひとつの前提的研究として行なった。以上である。
|
Research Products
(3 results)