2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530117
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三野 和雄 大阪大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (00116675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板谷 淳一 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (20168305)
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Keywords | 均衡の不決定性 / 金融政策 / 財政政策 / ルールと裁量 / 期待形成 / 強調の失敗 |
Research Abstract |
平成16年度は、均衡の不決定性の発生と財政・金融政策の効果の関係について理論的に検討することに研究の重点を置いた。まず、中央銀行が名目利子率をインフレ率に連動させて制御する金融政策ルールのもとにおいて均衡の不決定性が生じる可能性を検討し、両者の間に密接な関係が存在することを示した。特に、インフレ率の変化に対して利子率を反応させる度合いが、均衡経路を一意に定めるか否かに対して、重要な役割を果たすことを明らかにした。一方、貨幣成長率を一定に保つ固定的なルールの下においては、均衡の不決定は、金融政策よりもむしろ家計の選好と生産技術の特定化によって発生することも示した。この場合には、均衡の不決定性と金融政策の効果の間には確定的な関係は成立しないことになる。これらの例が示すように、金融政策のルールの形態と経済の安定性は密接に関連している。なお、利子率制御ルールに関する結果については、結果の一部をまとめたものを共同論文としてEconomics Bulletin誌に発表し、それらを含むより詳しい論文を現在準備中である。また固定的な貨幣成長ルールのもとにおける結果も共同論文としてまとめ、現在投稿・審査中である。これらの結果はいずれも、投稿準備中に、学会・研究会議、セミナー等で報告し、そこで得た有益なコメントを論文作成の際に参考にした。 財政政策に関しては、生産の外部性を含む成長モデルを用いて、均衡の不決定性が発生する場合とそうでない場合では、要素所得課税の効果がいかに異なるかについて理論的に検討した。この結果についてもいくつかの研究会議で報告した後に論文にまとめ、現在投稿審査中である。また外部性を含む成長経済における財政政策の経済厚生に及ぼす効果については、研究代表者が単著の論文で分析し、Japan and the World Economy誌に発表した。この結果をさらに拡張したものを、現在共同論文としてまとめている。
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Research Products
(5 results)