2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530128
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
田中 靖人 同志社大学, 経済学部, 教授 (10188344)
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Keywords | 社会的選択理論 / 社会的選択関数 / 戦略的操作不可能性 / 確率的社会的選択関数 / 代数的位相幾何学 / ホモロジー論 |
Research Abstract |
本年度はまず複数の選択肢を選ぶ社会的選択関数(社会的選択対応)の戦略的操作不可能性(strategy-proofness)の問題と,確率的に選択肢を選ぶ(選択肢に確率を割り当てる)社会的選択関数の戦略的操作不可能性の問題について検討した。前者については複数の選択肢を選ぶ社会的選択関数の戦略的操作不可能性が,ある種の単調性と同値であることを示し,後者については戦略的に操作不可能な確率的に選択肢を選ぶ社会的選択関数には一種の独裁者(確率的な独裁者)が存在するというギバードによる定理が,ギバード自身の証明よりもより簡単な手順で証明できることを明らかにした。それぞれの研究をもとに論文を執筆し,ともにレフェリー審査のある海外の出版社から発行されている学術雑誌に掲載した。さらに,代数的位相幾何学(代数的トポロジー)を用いた社会的選択理論の基礎的な事項とその理解に必要な数学をまとめたものを,同志社大学のワーキング・ペーパーとして発行した。代数的位相幾何学を用いた社会的選択理論では通常ホモトピー論が用いられているが,数学のテキストなどではホモトピー論よりもホモロジー論の方が基礎的かつ重要なものとして扱われている。またホモトピー論は直感的には理解しやすいが,正確に理論内容を把握するのは難しい。これに対してホモロジー論の方は,直感的には少々わかりにくい面があるが,多少の時間をかければ理論内容を正確に理解することができる。どちらの手法を用いても社会的選択理論を展開できるので,このワーキング・ペーパーではホモロジー論を用いた。さらに社会的選択理論の様々な理論をまとめた別のワーキング・ペーパーを発行した。
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Research Products
(4 results)