2004 Fiscal Year Annual Research Report
経済・政治・倫理の関係に関するヘンリー・シジウィクの思想についての研究
Project/Area Number |
16530133
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堂目 卓生 大阪大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (70202207)
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Keywords | シジウィク / 功利主義 / 倫理学 / 経済学方法論 / 財政思想 / ベンサム / ケンブリッジ / 財政軍事国家 |
Research Abstract |
今年度は、主としてThe Works of Henry SidgwickおよびそのCD-ROM版を用いて、Methods of Ethics(第1版・第7版),Principles of Political Economy(第3版),Elements of Politics(第3版)における、経済、政治および倫理の関係に関するシジウィクの議論を整理した。整理の作業はまだ進行中であるが、Methodsにおいて承認された社会政策の原理としての功利主義が、法と経済に関する議論に強く反映されているのではないかという見解を得た。また、サイエンスとしての経済学とアートとしての経済学の区別について、シジウィクの倫理学の方法が影響しているのは、主としてアートとしての経済学ではないかという見解も得られた。 また、3月11日から3月20日までケンブリッジ大学を訪れ、トリニティ・カレッジに所蔵のシジウィク・ペーパーズの調査を始めた。今回は、滞在が短期間であったので、ペーパー全体の詳しい調査はできなかったが、ペーパーの管理状態、閲覧方法、インデックスの状態などを把握することができた。 ケンブリッジ大学滞在中、歴史学部のセミナーにおいて、論文'The‘British fiscal-military state and the political economy of public finance in the classical era'を報告した。本論文は、シジウィクを直接の対象にするものではないが、財政軍事国家へのイギリス経済学者の取り組みという視点から経済学の歴史を論じたものであり、今後、シジウィクの財政思想を検討する上で基礎になる論文である。参加者からは、多くの貴重なコメントをもらい、シジウィクの財政論を検討する上で、有益なセミナーであった。 また、イギリス滞在中、ロンドン大学のベンサム・プロジェクトも訪ね、経済・政治・倫理の関係に関するベンサムとシジウィクの見解を比較について議論するとともに、プロジェクトのスタッフと共同で進めている功利主義経済思想に関する著作の出版計画についても議論した。
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