2006 Fiscal Year Annual Research Report
経済・政治・倫理の関係に関するヘンリー・シジウィクの思想についての研究
Project/Area Number |
16530133
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堂目 卓生 大阪大学, 大学院経済学研究科, 教授 (70202207)
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Keywords | シジウィク / 功利主義 / 倫理学 / 経済学方法論 / 財政思想 / ベンサム / ケンブリッジ / 財政軍事国家 |
Research Abstract |
今年度も引き続き,The Works of Henry SidgwickおよびそのCD-ROM版を用いて,Methods of Ethics(第1版・第7版),Principles of Political Economy(第3版),Elements of Politics(第3版)における,経済,政治および倫理の関係に関するシジウィクの議論を整理した。 12月9日〜12月10日に横浜で開かれた研究会に出席し,論文 Smith's Views and Designs of the British Empire : Two ways to return to the natural course 報告した。この研究会は,経済学史学会の会員と,イギリスの帝国史研究者(Peter Cain, Martin Daunton, Anthony Howeなど)とが共同して,大英帝国の形成と衰退のプロセスの中で,政治的言語としての経済学がどのような影響を受け,また影響を与えたかをさぐる研究会であり,論文集British Empire and Economic Thought(仮題)の出版を目ざしている。扱う時代は18世紀中葉から20世紀中葉までであるので,帝国問題に対するケンブリッジの経済学者の見解も検討対象となる。今回発表した論文はアメリカ植民地問題に対するアダム・スミスの見解を扱っているため,直接シジウィクに言及しなかったが,今後,論文集の中にシジウィクの見解も含められないか検討する予定である。 2007年1月26日から2月6日まで,日経新聞の「やさしい経済学」にアダム・スミスの『国富論』と『道徳感情論』の関係についてのコラムを連載した。このコラムは,経済学を倫理学と関連づけて考察しようとする本研究の基本的視座に影響を受けており,その意味で,間接的ではあるが本研究の研究成果とみなすことができる。 2007年3月24日〜2007年3月28日まで,イギリスのケンブリッジ大学を訪れ,ワークショップOn the Two Bilateral Relations with the Superpowerに参加するとともに,トリニティ・カレッジ所蔵のシジウィク文書を閲覧・調査した。
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