2007 Fiscal Year Annual Research Report
経済・政治・倫理の関係に関するヘンリー・シジウィクの思想についての研究
Project/Area Number |
16530133
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堂目 卓生 Osaka University, 大学院・経済学研究科, 教授 (70202207)
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Keywords | シジウィク / 功利主義 / 倫理学 / 経済学方法論 / 財政思想 / アダム・スミス / 同感 / 財政軍事国家 |
Research Abstract |
今年度も引き続き,The Works of Henry SidgwickおよびそのCD-ROM版を用いて,Methods of Ethics(第1版・第7版),Principles of Political Economy(第3版),Elements of Politics(第3版)における,経済,政治および倫理の関係に関するシジウィクの議論を整理した。 2007年8月14日の日経新聞の「経済教室」において、アダム・スミスを中心とする経済学者の思想が現代にどのように活かされ得るかを論じた。また、8月4日と8月8日の二日間、日本経済研究センターの招きによって、東京と大阪で、「市場と成長」と題する講演を行い、講演要旨を『日本経済研究センター会報』の10月号に掲載した。これらの講演や記事は、直接シジウィクを論じるものではないが、功利主義思想の現代的意義、特に功利主義思想が前提とする同感の仕組みが、現代の経済や社会を見る見方にどのように適用され得るかという問題を考察する点で、本研究課題を進める上での重要な活動であったといえる。 本年度は、本研究の最終年度であるので、シジウィクの倫理学と経済学、さらには政治学がどのように関連しているかということについて論考(ノート)をまとめた。論考をまとめる中で、シジウィクの思想に大きな影響を与えてた人物として、J.S.ミルやベンサムなどの功利主義思想家だけでなく、彼ら以前に同感の理論を提示したアダム・スミスが挙げられるのではないかということが判明した。この点は、従来、あまり指摘されてこなかった点であり、本研究の独創的な成果となる可能性がある。今後は、この点を中心に研究成果をまとめる。
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