2004 Fiscal Year Annual Research Report
事業リスク評価管理法の方法的基礎とその実践的活用方法
Project/Area Number |
16530139
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
刈屋 武昭 明治大学, 大学院・グローバルビジネス研究科, 教授 (70092624)
|
Keywords | 銀行の信用リスク管理 / 貸出ポートフォリオ / 新BIS規制 / 資本配賦問題 / 銀行の支店ポートフォリオ / ボトムアップ・アプローチ最適化 / トップダウン・アプローチ最適化 |
Research Abstract |
事業リスク管理法の方法的基礎を構築していくために、最初のステップとして、銀行経営のバンキング業務に関しての経営問題を扱った。バンキング業務のリスク管理で重要な、最適資産・資本配賦問題に関する思考の枠組みを提供し、リスクとリターンに関して具体的な解を与える計量的分析の枠組みの基礎をあたえた。特に貸出行動の最適化を行う場合、銀行全体の経営の最適性と各支店経営の最適性の間の整合性にかかわる分析枠組を展開した。その結果、各支店への資本配賦の考え方よりも各支店のポートフォリオの格付けクラスへの資産配分の考え方の方が、銀行経営の目的合理性から見てその整合的であることを示した。この枠組は、新BIS規制における信用リスク評価にも有効である、と判断する。 議論は、ボトムアップ方式とトップダウン方式の二つの枠組みから展開する。本稿で展開する経営モデルは、1期間モデルである。多期間モデルへの拡張も刈屋(1998)の枠組みを利用すれば議論可能であるが、格付け推移とそれによる貸出金利の変化、金利水準自体の変化を一緒に扱う必要がある。この問題は別な論文として提示したい。毎期貸出ポートフォリオの最適性を検証し、最適でない場合、次の期に格付配分に関して新しい貸出を調整していくことを想定している。中でもボトムアップ方式の2段階最適化では、これまでの貸出との比較をしながら調整していくことを想定している。他方、不確実性は、各企業が1期間内で倒産するかどうかの2項事象ひとつであり、倒産した場合の平均回収率(1マイナス損失率)は所与としている。これを不確実な確率変数として導入することも考えられるが(保険のf-d法に沿うもの)、ここではその複雑性を避けてある。
|