2004 Fiscal Year Annual Research Report
パネルデータを用いた技術非効率発生メカニズムの動態的分析
Project/Area Number |
16530150
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鳥居 昭夫 国立大学法人横浜国立大学, 経営学部, 教授 (40164066)
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Keywords | 技術非効率 / ヴィンテージ・モデル / 指数べき乗分布 |
Research Abstract |
本研究の目的は、各事業所の技術非効率の水準が設備のヴィンテージ等の変化によってどのように変わっていくかを明示的に捉えることによって、一つの産業の技術非効率水準の変化を動態的にとらえることである。この目的を果たすため、ある事業所の技術効率水準が、どのような要因によって変化するかを説明する複数の確率過程モデルを構築し、それぞれのモデルの下で、個々の事業所の技術効率水準の変化がなす分布の統計的特性を予測する。次の段階で、企業レベルのデータを用いて、ある年度の個々の事業所の技術効率水準を条件とする次年度の技術効率水準の条件付き分布が、どのような分布となるかを実証分析することによって、理論モデルの適否を論じる。 本年度は、特に、技術効率水準変化を記述する確率過程モデルの作成、およびその確率過程モデルによる技術効率分布の変動のシミュレーション分析を繰り返して、いくつかの仮想的な確率過程モデルを作成した。この作業において、ヴィンテージ・モデルとランダム・ウォークを背景としたExponential Power Family分布がもっとも適切な仮定であるという結果を得ている。現在、このFamilyの中でさらに特定できるかを続けてシミュレーション分析している。さらに、ポアソン的な技術革新が起こる場合の、技術非効率分布シミュレーションも有効であることが示された。ただ、分布型としては解析的に示すことができるにはいたっていないので、モンテ・カルロ分析の結果を提示するためのシミュレーションを繰り返している。この作業にともなって、『日本産業の経営効率』においてすでに得ている結論を英訳して、次年度の成果を公刊するための準備作業を行っている。
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