2004 Fiscal Year Annual Research Report
IT産業クラスターと地域労働市場に関する理論・実証研究-インドの事例を中心に
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16530151
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡田 亜弥 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 助教授 (00313982)
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Keywords | IT / 産業クラスター / ソフトウェア産業 / IT技術者育成 / 地域労働市場 / ITと教育 / インド経済 / 知識経済 |
Research Abstract |
平成16年度から3年間にわたり実施される本研究は、1990年代以降めざましい発展を遂げたインド・ソフトウェア産業に焦点をあて、インド各地に形成されたIT(情報技術)産業クラスターにおける地域労働市場の構造変化および雇用・技能開発パターンの変容を明らかにするものである。具体的には、(1)ITクラスターにおける地域労働市場構造・特質および労働慣行・技能開発パターンの変化、特にソフトウェアエンジニアを中心とする知識労働者の需要・供給パターンの変容と他産業における需給パターンへの影響、(2)地域労働市場における知識労働者の需要・供給調整メカニズムの形成と知識スピルオーバーの実態、(3)どのような経済的・社会的・制度的条件がそのメカニズム形成を決定づけたか、(4)ITクラスターにおける労働慣行・技術開発パターンの変化がもたらす同地域の他産業への影響、の4点に焦点を当てる。第1年度である平成16年度には、本研究遂行のため、16年9月にインド首都デリーおよび、インド最大のITクラスターが形成されているバンガロール市(カルナタカ州)において現地調査を実施した。現地調査では、インド全国各地に形成されているソフトウェア産業クラスターの発展状況に関するデータ収集を行うとともに、事例のひとつであるバンガロールにおいて集積パターン、クラスターの内部構造、地域労働市場構造、IT技術者供給に関する中央・州政府の政策の役割についてデータ収集および聞き取り調査を行った。この成果の一部は、"Manpower Planning for Regional Cluster Development : Lessons from Banglore's Software Cluster"と題する英文論文にまとめられ、2004年度Association of Collegiate Schools of Planning(ACSP:全米計画学会)年次大会(オレゴン州ポートランド、10月20-24日開催)において発表された。また、平成15年度に引き続き、日本貿易振興機構・アジア経済研究所の客員研究員として「アジアとその他の地域の産業集積比較:集積発展の要因」国際共同研究プロジェクトに参加し、インドにおけるソフトウェア産業集積の事例について17年2月に同研究所において報告するとともに、他国・地域の事例を研究する他プロジェクト参加者から知見を得た。この研究成果の一部は、17年度にアジア経済研究所から刊行される英文図書に収録予定である。そのほか、財務省「平成16年度開発経済学研究派遣」による助成を受け、平成16年11月4日から約3ヶ月間、「インド・ソフトウェア産業の成長と中小企業-技術力構築と国際分業」をテーマに、インドにおける在外研究の機会を得た。この3ヶ月間の在外研究では、バンガロールをはじめ、振興のソフトウェア産業クラスター(プネ、グルガオン、NOIDA)において、企業調査を行ったほか、IT関係政府機関、ソフトウェア産業関連組織等において聞き取り調査を行った。
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Research Products
(2 results)