2005 Fiscal Year Annual Research Report
IT産業クラスターと地域労働市場に関する理論・実証研究-インドの事例を中心に
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16530151
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡田 亜弥 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 教授 (00313982)
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Keywords | ITクラスター / 産業クラスター / ソフトウェア産業 / 地域労働市場 / 技能開発 / ITと教育 / インド経済 / 産業集積 |
Research Abstract |
平成16年度から3年間にわたり実施される本研究は、1990年代以降急成長したインド・ソフトウェア産業に焦点を当て、IT産業クラスターにおける地域労働市場の構造変化および雇用・技能開発パターンの変容の解明を目的としている。具体的には、(1)ITクラスターにおける地域労働市場構造・特質および労働慣行・技能開発パターンの変化、特にソフトウェアエンジニアを中心とする知識労働者の需要・供給パターンの変容と他産業における需給パターンへの影響、(2)地域労働市場における知識労働者の需要・供給調整メカニズムの形成と知識スピルオーバーの実態、(3)メカニズム形成決定要因としての経済的、社会的、制度的要因、(4)ITクラスターにおける労働慣行・技能開発パターンの変化がもたらす同地域の他産業への影響、の4点に焦点を当てる。第2年度にあたる17年度には、本研究の一環として、平成15年度以降継続して、JETRO・アジア経済研究所の客員研究員として、「アジアとその他の地域の産業集積比較:集積発展の要因」国際共同研究プロジェクトに参加し、同プロジェクト研究会において、インド・ソフトウェア産業および自動車産業の集積事例について2度報告を行ったほか、外部講師等による他国の事例に関する研究発表に出席し、知見を深める機会を得た。また17年9月に、インド・デリー市にある経済成長研究所(Institute of Economic Growth : IEG)を訪問し、関連分野でインドの代表的研究者であるDr.N.S.Siddharthanと共同研究の打ち合わせ、データの分析、資料収集を行った。この共同研究の成果の一部を「Industrial Clusters in India : Evidence from Automobile Clusters in Chennai and the National Capital Region」と題する論文にDr.Siddharthanと共著でまとめた(2006年にJETRO・アジア経済研究所から出版予定の「Flowchart Approach to Industrial Cluster Policy」(Akifumi Kuchiki, Masatsugu Tsuji, Masahisa Fujita編)に第6章として所収予定)。本論文では、インドの主要製造業サブ・セクター(家電、薬品・製薬、電子部品・ハードウェア、および自動車産業)を取り上げ、これら産業クラスターの地理的分布、集積状況、パフォーマンス、成長要因等を分析した。分析結果は、クラスター発展要因と地域労働市場変容パターンの産業間の差異を示唆しており、18年度に、ソフトウェア産業との比較研究に発展させる予定である。また、17年9月にアジア計画学会(Asian Planning Schools Association : APSA、マレーシア・ペナンにて開催)において、「Small Firms in India's Software Clusters and Their Global Linkages」と題する論文を発表した。さらに、18年3月には、中国とインドのITクラスターの比較研究を念頭に、中国最大のITクラスター上海市において現地調査を実施し、IT産業関連機関訪問、IT産業開発区の視察、データ・資料収集を行った。
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Research Products
(2 results)