2005 Fiscal Year Annual Research Report
国際労働移動が産業間国内労働移動と世代別失業に与える影響の理論的分析
Project/Area Number |
16530156
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
藪内 繁己 名古屋市立大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (40264741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多和田 眞 名古屋大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (10137028)
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Keywords | 国際的要素移動 / 国内労働移動 / 失業 / 労働移動の不完全性 / 熟練・非熟練労働 / ハリス・トダロモデル / 最低賃金 / 不法移民 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、国内の労働移動が、何らかの理由で制限されている経済について、政策や国際的な要素移動が国内経済に及ぼす効果について、様々な角度から分析を行った。本年は特に、熟練労働と非熟練労働が同時に存在する経済に注目し、若年の非熟練労働者が職業選択の過程で高望みをすることによる失業の存在と、その解決策について検討した。特に先進国において見られるこの現象は、比較的富裕な両親や祖父母からの援助によって助長されていること、また後進国に見られる農村から都市への移動との類似性に注目して分析を行った。その結果は、分析の枠組みとして、前年より改良された形でまとめられ、Review of Development Economicsに受理されている。また、このモデルを拡張し、先進国の失業と両親等からの援助の関係の分析に応用した論文、"Someday My Prince Will Come"は、ダブリンで開かれた第7回European Trade Study Group学会で報告された。 一方、国内にインフォーマル部門が存在する場合について、外国投資が国内の労働移動と失業および所得分配に及ぼす効果について分析を行った。その結果は、Pacific Economic Reviewの論文としてまとめられている。 また、労働組合が存在する状況の下で、労働移動が熟練労働と非熟練労働の国際移動が賃金格差や技術の形成にどのような影響を持つかを検討した。その結果、熟練労働者の移民が賃金格差を拡大し、技術の形成に関しては、非熟練労働の移民は技術の獲得を助長する一方で、熟練労働の移民はそれを抑制するといった結果が得られている。この結果は、日本大学で行われた第19回Pacific Regional Science Conferenceで報告を行った。さらに、不法移民の規制政策が、受入国の要素価格、失業および厚生水準に与える効果について分析を行い、その結果はPapers in Regional Scienceで公刊予定となっている。
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Research Products
(4 results)