2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530164
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
土門 晃二 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (00264995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤尾 健一 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (30211692)
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Keywords | 応用経済学 / 違法コピー |
Research Abstract |
本研究では、最初に、違法コピーの存在を前提として、企業がコピー・コントロールを実施した場合の効果について、モデルを用いて分析を行った。違法コピーは、権利的に許されるものではないが、経済的に消費者の厚生を高めている効果を持つことは無視できない。その効果を考慮に入れた場合、消費者の限界便益が高い場合には、違法コピーは経済厚生全体を増加させることを明らかにした。また、違法コピーがない場合に、企業の利潤はコピー・コントロールによって低下することが示された。その原因は、コピー・コントロールによってサービスの便益が低下し、そのことによって、需要の低下をもたらすからである。しかし、違法コピーが存在する場合には、このことは明らかに成立しない。違法コピーを分析するうえで重要な要素は、違法コピーのための取引費用である。この取引費用が低い場合には、コピー・コントロールが経済厚生を高める効果を持つ。そのための条件を明らかにした。最後に、コピー・コントロール導入のインセンティブを分析した。 次に、消費者の需要に関する不完備情報下でのコピー・コントロールによる価格差別化の考察を行った。二部料金制の下で、コピー・コントロールの在る無しによって製品を差別化する場合に、消費者は、コピー・コントロールを選ぶ低効用タイプの消費者とコピー・コントロールのない方を選ぶ高効用タイプの消費者に二分されることを示した。そして、私的コピーによるコピー費用が生産者のコピー費用よりも低いときに、この価格差別化政策は企業に高い利潤をもたらし、かつ社会厚生も増加させることを示した。このことは、最近のインターネットでの配信サービスによる価格戦略が、企業の利益のみならず消費者の便益をも増加させていることを示唆している。私的コピーが一概に企業に否定されない大きな根拠を示している。
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Research Products
(2 results)