2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530173
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
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Keywords | コーポレート・ガバナンス / 銀行の所有構造 / 株主によるモニタリング / 金融システム / 日本の金融危機 / 不良債権問題 / エージェンシー・コスト / 貸出行動 |
Research Abstract |
1990年代前半から近年に至るまで、日本は極めて深刻な金融危機に直面した。日本で金融危機が発生し長期化した背景の1つとして、不動産業、建設業、ノンバンクなどへの融資や、企業の財テクのための資金提供などの銀行の積極的な貸出行動が挙げられる。本研究では、銀行の大株主の役割に注目し、1980年から2000年までの20年間に上場した全ての銀行の所有構造に関するデータを調べた。その結果、特に銀行と保険会社が大株主として重要な位置を占め、長期にわたる安定的な株主であることが明らかになった。 しかし、銀行と保険会社は信頼できるモニターとはなり得ないと考える。1つには、彼らは、自分たちが株式を所有する銀行と業務上のつながりを有している。たとえば、保険会社は、その銀行のオフィスに出向き、保険を売るなどの機会を有している。また、銀行は、自分が大株主である他の銀行に対して役員を派遣している。もう1つには、銀行や保険会社は自らのガバナンスがそもそも脆弱である点が指摘できる。彼らは、各種の規制に守られ、ガバナンス・メカニズムによる規律付けがなされていなかったと考えられる。そこで、本研究では特に、銀行の主要な大株主として銀行および保険会社の銀行経営へのモニタリングの効果を調べた。銀行が効果的にモニタリングされていなければ、銀行経営者は銀行の価値を減じるような行動をとるという仮説を立てた。推計結果からは、80年代には、銀行、保険会社、非金融法人の所有比率が高いほど、貸出の伸び率が高く、パフォーマンスも悪いということが示された。90年代には、不良債権の問題で多くの銀行が破綻するようになったにもかかわらず、銀行、保険会社、非金融法人の所有比率が高い銀行は、そうでない銀行に比べて、貸出の伸び率が高かった。以上のことから、本研究は、主要な大株主が銀行を適切にモニタリングしていなかったと結論することができる。
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Research Products
(1 results)