2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530199
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
利 博友 (LEE Hiro) 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (40283460)
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Keywords | 自由貿易協定 / 東アジア / CGEモデル / FTA |
Research Abstract |
本年度は、1997〜2015年の期間をカバーした9地域・18部門の動学的な計算可能一般均衡(CGE)モデルによって、「ASEAN-中国」、「ASEAN-日本」、「ASEAN+3」、「ASEAN-EU-中国」、「日米中」の自由貿易協定(FTA)のシミュレーションを行い、多国間の完全貿易自由化のケースと比較した。主な結果は、以下の通りである。 1.これらのFTAシナリオにおいては、すべての加盟国に恩恵がもたらされるが、多国間の完全貿易自由化のケースと比較した場合、一部の特別なケースを除き経済厚生の上昇率は小さい。5つのFTAのシナリオの中では、ASEAN+3 FTAの影響が最も大きく、世界全体の経済厚生を2015年までに2,310億USドル増加させる。一方、多国間の完全貿易自由化の場合、世界の経済厚生は2015年までに7,320億USドル増加するという結果を得た。 2.非加盟国の経済厚生は殆どのケースで減少するが、減少率は非常に小さい。 3.東アジア諸国にとって、経済成長率および輸入増加率の高い中国とFTAを締結することが一層有益で、世界貿易自由化に到達するまでの飛び石となるという予備段階の結果を得た。 4.現在行われているFTAの交渉では、農産品の多くが関税撤廃の対象ではない。すべての財・サービスが加盟国間で自由化されたケースと比較して、農産品が自由化されないと仮定したシナリオの下での経済厚生の改善は、54〜74%減少する。 来年度は、産業部門を30〜35に増やし、FTAの部門別の影響を詳細に分析する予定である。
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Research Products
(1 results)