2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530201
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
飯島 裕胤 弘前大学, 人文学部, 助教授 (70303039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
家田 崇 名古屋商科大学, 総合経営学部, 専任講師 (90319244)
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Keywords | 新株予約権 / 企業買収 / 企業買収防衛策 / ポイズン・ピル / 委任状闘争 / 最適デザイン / 取締役会 / 株主の非対称性 |
Research Abstract |
新株予約権を用いた企業買収防御策の最適デザインの問題を、理論的に考察した。本年度は、基本的な結果と今後の方向性を導いた。分析においては、わが国における望ましいデザインという観点を重視した。 考察に先立ち、先行研究の渉猟を行った。米国を中心に多くの先行研究があるが、大筋では、「委任状闘争」と「(新株予約権等による)ポイズン・ピル」の組み合わせで最適が達成される、という結論で一致している。ここでは、新株予約権の最適デザインという発想は(実質的に)必要なく、ポイズン・ピルは、それが委任状闘争を通じて消却されない限り買収が行われないような「禁止的」なものでありさえすればよい。そして、委任状闘争で、望ましい支配権の決定がなされる、というものである。 この結論は、わが国においても正しいだろうか。われわれは、まず、その部分を問うた。わが国の株式の所有状況をみると、取引先・取引関係のある企業の保有が特徴的である。さらに、買収過程において、「取引先であることを考慮して」判断がなされることもままある。これらを考えると、上の結論は必ずしも成立しない。本来は支配権を得るべき側が委任状闘争に敗れる可能性が、大いにある。そのことを考慮すると、「禁止的」なポイズン・ピルでなく、最適なデザインという問題が浮上するのである。 最適デザインは、買収者の性質、取締役会の状況、株主の状況(とりわけ、その非対称性)等に依存する。次年度の課題は、これらを詳細に、厳密に導出することである。また、たとえば、特定の株主への新株予約権割り当ての禁止ルール(現状では、これは明確に禁止されていないし、また実際行われている)の経済的影響など、実際的な課題にも取り組みたい。
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