2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530203
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
大野 正智 福島大学, 経済経営学類, 助教授 (60302311)
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Keywords | 企業金融 / 有価証券報告書 |
Research Abstract |
昨年度の国内・国際学会や大学セミナーでの発表で得た多くのコメントをもとに、今年度は、完成版に向けて、論文のさらなる改訂を中心に行った。特に最近、国内外の経済学者の中で、流動性制約下にある企業の資金繰りが、注目されたテーマとなっており、今回のテーマと関連する研究との比較を中心に検討した。例えば、今年度の日本経済学会では、企業金融に関する論文の討論者としての依頼を受け、コメントを行った。また、全米経済研究所の研究会では、経済変動と企業金融について共通の関心を持った研究者と討議することができ、その後、拙著を相手方に送付した。また、European Economic ReviewにおいてもMateut et. al (2006)によってイギリスの企業データを使った金融と信用取引についての研究が注目されている。本研究では、こうした内外の最新の企業金融と金融市場に関する研究成果を踏まえ、比較考察のもと、論文の改訂を続行した。特に、本研究の実証分析では、メルツァー効果のミクロ的非対称性が明らかになり、内外の研究でこの効果が一貫した形で明らかにならないのは、金融環境にたいする各企業の非対称な反応と関係が深いことが、本研究成果から示唆できることになる。 また、本研究のもう一つの特徴である日本経済の低迷期についての考察も深めた。Hodorick and Prescott (1997, JMCB)によるフィルターを使用すると、90年代末ごろであることが量的な統計的方法によっても確認できた。近年、この低迷期に関する研究がマクロ経済学者の間で多く行われてきているが、それらとの比較検討の上、本研究のこれまでの研究成果について論文改訂を行った。論文は英文によって書かれたものなので、海外の経済学術専門誌への投稿を試みている。
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