2004 Fiscal Year Annual Research Report
投資ファンドによる企業再生・企業合併の増加の影響に関する計量的実証分析
Project/Area Number |
16530211
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
丸山 宏 横浜市立大学, 商学部, 教授 (30181837)
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Keywords | 投資ファンド / 企業再生 / 会社更生法 / 管財人 / 債務弁済率 / 更生計画 / 更生スポンサー / 不況業種 |
Research Abstract |
投資ファンドが関わった企業再生・企業合併のデータベースを作成した。そして、それらのうち、とくに会社更生法による会社更生事件を当面の分析対象とした。分析期間は、1990年から2004年末までとした。そして、その期間の会社更生事件のデータを官報から収集し、債務弁済率を始めとする更生計画データを収集した。次に、それらの会社更生事例について、スポンサーの有無を確認した。そして、スポンサーになった投資ファンドを確認した。A.Shleifer-R.Vishny(1992)の理論モデルを参考にし、倒産した企業が属する産業は不況産業である場合が多く、したがって同じ産業内の他社(インサイダー)も不況のため、資金が乏しく、倒産企業を買収したり、救済したりする余力に乏しいことから、倒産企業は資金制約のない、他の産業に属する企業(アウトサイダー)に買収・救済される可能性が出てくることを分析の基本的な枠組とした。投資ファンドは、このアウトサイダーの典型であると考えられる。一方、スポンサーを決める権限を持つ更生事件の法律管財人は、できるだけ高い弁済率で債権者の満足度を高めるだけでなく、更生計画が遂行される可能性も高めたいと考える。そのため、不況産業では、資金余力のある投資ファンドがスポンサーとして選択される可能性が高い。また、最終的にスポンサーに選ばれなくとも、選考のプロセスに参加することで、競争状況を高めることが予想される。この着想に基づき、分析期間全体を投資ファンドの活動が事実上存在しない前半(1998年まで)と投資ファンドが活発になった後半(1999年以降)とに分け、債務の弁済率の決定関数を統計的に推計した。そして、投資ファンドの影響があることを統計的に確認した。この研究成果に基づき、どのように変化したかをさらに厳密に分析し、最終的結論を得ることが、平成17年度の研究課題である。
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