2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530212
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
川瀬 光義 静岡県立大学, 経営情報学部, 教授 (40195095)
|
Keywords | 三位一体改革 / 米軍基地所在市町村活性化事業 / 北部振興 |
Research Abstract |
1990年代半ばから、沖縄本島北部地域自治体を中心に行われている「米軍基地所在市町村活性化特別」「沖縄北部振興対策特別事業」「移設先及周辺地域振興事業」の概要を検証した。これら事業の多くは、自治体が実施主体であるにもかかわらず国が全額経費を負担している。その結果、県内の他の自治体では国庫補助事業の比重が漸減傾向にあるなかで、これら事業を実施している自治体ではその比重が異常に高くなっている。先行的に事業が竣工している名護市の実情をみると、同市の米軍基地が市域の東部海岸地方に集中しているのに対し、主な事業が基地被害が日常的には体感することがほとんどない西部地域市街地に集中していることがわかった。これら事業が基地と関連して認められていることからすると、名護市における事業展開の正当性には疑問を持たざるを得なかった。雇用については、量的には一定の効果がみられる。しかし不安定雇用が多く、持続性と安定性が今後の課題となると思われる。今後、最大規模な事業が予定されているのは嘉手納町の再開発事業である。同事業は、既存の居住者への社会的配慮も行き届いており、また防衛施設庁を誘致するなど、居住環境の改善と地域経済の活性化に一定の効果があると予想される。同町の場合、行政区域の8割以上をしめる嘉手納基地の整理・縮小なしには、どのような事業にせよその経済効果には限界があると思われるが、この再開発事業の推移は注目される。 どの自治体にも共通するのは、目立った財政効果があらわれてないことである。逆に、いわゆる「三位一体改革」の影響が、国庫補助負担金への依存度が高い県内自治体にはより深刻に現れていることが明らかになった。2005年度においては、県内自治体を(1)本研究が対象とする基地所在自治体活性化事業がおこなわれている本島自治体、(2)(1)以外の本島自治体、(3)離島自治体の3つに分類し、その影響を検証する予定である。
|