2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530214
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
てき 林よ 大阪市立大学, 大学院・経営学研究科, 教授 (40236964)
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Keywords | 機関投資家 / 本源的投資家 / エクイティー・プレミアム / リスクの分散 / リスク回避度 / エージェンシー問題 / 分離均衡 / 情報優位性 |
Research Abstract |
本源的投資家が投資資金を投資信託会社等の機関投資家に預けて証券投資なかんずく株式投資を行うという「機関投資家現象」には情報とリスク配分の点においてどのような特徴があるかについて既存の研究成果を鑑みながら、モデルで分析を行った。その結果、機関投資家は情報優位性を持つうえ、投資リスクの分散においてもリスクのプーリングを通じて、投資家全体の実質的リスク回避度を低減させる役割を担っていることを示し、このリスク回避度の実質的低減は、リスク・プレミアムたるエクイティー(株式)・プレミアムを小さくするが、本源的投資家と機関投資家間にエージェンシー問題が介在しているため、エクイティー・プレミアムを特定する際にその影響を考慮に入れる必要がある、ということを強調した。また、機関投資家現象は株式流通市場のみならず、株式発行市場にも存在すること、機関投資家と証券会社間の利害関係の影響がリスク配分における機関投資家現象の影響を凌駕すること、機関投資家現象は総じて株式市場の効率および資源配分効率にプラスの影響を与えるが、本源的投資家と機関投資家の関係を律する義務と責任の割当方が極めて重要であること、をも指摘した。 モデルで「機関投資家現象」のリスク配分における影響を分析してから、モデルの説明力を検証するための方法の検討とデータの収集にも着手した。いかに既成のデータを活用しながらもっと厳密な方法で株式プレミアムを計算し、エクイティー・プレミアムに与える機関投資家現象の影響を析出するかを考案した。
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