2006 Fiscal Year Annual Research Report
イギリス造船機械産業における管理革新・標準化の試みとその日本への影響に関する研究
Project/Area Number |
16530222
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野塚 知二 東京大学, 大学院経済学研究科, 教授 (40194609)
|
Keywords | 労務管理 / 標準化 / イギリス造船機械産業 / 管理革新の世界同時性 / 技術者団体 / 管理権限の混乱 / 現場監督者 |
Research Abstract |
イギリス造船・機械産業の19世紀末〜20世紀初頭における管理革新・標準化の試みについて、平成18年度は前年度までに収集されたヴィッカーズ社、アームストロング社、北東部造船業技師協会、バロウ機械産業技師協会、北西機械産業技師協会等の文書を駆使して、大略以下の点を解明した。第1に、ヴィッカーズ社の1910〜13年のバロウ造船所組織調査は、おもに製図室技師および製図工の主導で開始されたが、その調査項目は現場の作業慣行、賃金支払い実態、入職や養成の制度、労働組合規制力と職長層の現場管理機能の関係など多岐にわたり、造船所組織の技術的な不合理性や非効率性を、従来になかった制度で認識する最初の機械となった。特に、現場監督者層選任の問題や製図室・現図場間の意思疎通の不全など経営側に起因する弱点が露呈し、それ以前の定型であった労働組合主因論が大幅に後退したことは、この時期の問題認識の深化度合いを示している。第2に、こうした新しい問題認識に導いた背後に地域技術者団体における管理、原価、標準化等に関する活動の成果が作用していると推論し、地域技術者団体の講習内容とバロウ造船所組織調査の問題設定との同型性を検出した。第3に、同時期(以降)の日本における管理実践との関係など、同時代的な国際比較については、申請者が主宰する比較労務管理史研究会を通じて、多面的かつ重層的に進め、管理問題が発見されるにいたる過程の類型化が試みられた。 1910〜13年バロウ造船所組織調査を、日本向け装甲巡洋艦の造船監督官等の資格で現地にて見聞した大量の日本人技術者・職工の報告書類は、数点を新たに発見し、また、本研究課題に関わる研究文献十数点を入手し、それらの批判と分析を試みた。
|
Research Products
(1 results)