2005 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ史における東ドイツの特殊性と歴史貫通的一般性に関する地域経済史的分析
Project/Area Number |
16530233
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Research Institution | Akita Keizaihoka University |
Principal Investigator |
白川 欽哉 秋田経済法科大学, 経済学部, 助教授 (20250409)
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Keywords | ナチス統制経済 / ライヒ内商品交換 / 東西ドイツ分割 / 地域間分業の再編 / 東西ドイツ間交易 / コメコン前史 / 計画経済 / 巨大企業の構造 |
Research Abstract |
平成17年度には、前年度からの研究の継続として、東ドイツ経済史を、中部ドイツという「経済空間」の歴史としてとらえ、その「歴史貫通的一般性」の有無を検証した。それは、歴史の連続面と断絶面として評価されるだろう。 歴史の連続面からは、「ドイツ内の地域間分業」が、第二次世界大戦後の東ドイツの経済構造を規定したことを確認した。それは東西分断の中でも完全に壊されることはなかった。 反面、東西分断が、東ドイツの経済体制を国有化と計画経済の原理で編成する契機を与えたことにより、東ドイツは、西ドイツと異なる社会の建設を目指すことになった。 これらの連続面と断絶面が、東ドイツ工業に与えた影響を考察したのが、下記の「研究成果1」である。また、断絶面が戦後どのように展開したのかについては、「研究成果2」とそれ以降の研究で考察する。 研究成果1:第59回東北経済学会自由論題報告「戦後東ドイツ工業の復興と再編-危機の克服か、その始まりか-」(福島大学、2005年10月22日)報告では、東ドイツ経済の分析にとって、「経済空間」という概念が有効であることを東ドイツの復興プロセスを事例に確認した。さらに、上記の断絶に関わる計画経済システムの構築が、東ドイツの経済パフォーマンスにどのような影響を与えたかについても分析した。 研究成果2:「東ドイツにおける計画経済の盛衰(1)」『経済論集』(秋田経済法科大学総合研究センター経済研究所)創刊号、39-49ページ。この文献解題では、先の断絶面を深化させた計画経済が、どのような段階を経て機能障害に陥ったのかを確認した。研究者によって見解がバラバラなのかと推測していたが、意外にも、これまでの東西ドイツの研究に「共通項」があることを発見した。次の稿で、さらに考察をすすめたい。 *平成17年度中は東ドイツ関連の古書、新刊書を108冊(前年度は86冊)集め、考察を進めてきた。
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Research Products
(1 results)