2004 Fiscal Year Annual Research Report
ブレトンウッズ体制と連邦準備政策の相克-H・D・ホワイトとM・エクルズ-
Project/Area Number |
16530236
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
須藤 功 明治大学, 政治経済学部, 教授 (90179284)
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Keywords | ブレトンウッズ体制 / 連邦準備制度 / H・D・ホワイト / M・エクルズ / 財務省 / 戦後構想 / L・カリー |
Research Abstract |
本研究は、第2次世界大戦後アメリカの連邦準備政策が抱えた問題をブレトンウッズ体制の構築に伴う通貨政策との相克に焦点を当てることで解明し、もって戦後アメリカ資本主義史の特質の一端を解明しようとするものである。 1.本年度は、まず財務省や連邦準備制度理事会などの第一次史料を収集し、分析することに重点をおいた。カリー文書(スタンフォード大学)、ホワイト文書(プリンストン大学)、エクルズ文書(ユタ大学)の収集作業を行った。 2.これと並行して、ニューディール金融制度改革から戦後国際通貨体制を結ぶ歴史的文脈を再構築するための作業を行った。そこで、連邦準備制度による通貨金融政策のかかる再編構想が第二次世界大戦後の政策的枠組みと密接な関連を持つものと捉え、その具体的な形成過程を解明する作業を行った。その際、理論的・政策的アドバイザーとしてエクルズ連邦準備制度理事会議長を支えたラクリン・カリーに着目して、彼特有のケインジアン的、マネタリスト的アプローチがアメリカ銀行制度およびニューディール期の経済復興と格闘するなかで、その改革構想が形成され、連銀の戦後構想に影響を及ぼしたことを研究成果の一部として発表した。 3.すなわち、カリーはケインズ的な拡張的財政政策を積極的に推進する一方で、シカゴ学派の「100%準備」案を受け入れて通貨供給の集権的管理を実現しようとした。この構想は実現しなかったが、通貨金融政策を巡る財務省や州政府との、あるいは他の連邦金融関係諸機関との調整は、ニューディール政策の目的を実現する上でも緊急に解決すべき課題として浮上した。連邦準備制度理事会が議会報告書で訴えたように、大恐慌以降の銀行システムの構成と銀行業の変化を認識したうえで、新しい銀行の監督体制と信用政策が構築されねばならなかった。そのようなものとして、連邦上院銀行通貨委員会(ワグナー委員会)による「全国銀行通貨政策調査」が開始されたのである。
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Research Products
(1 results)