2005 Fiscal Year Annual Research Report
ブレトンウッズ体制と連邦準備政策の相克-H・D・ホワイトとM・エクルズ-
Project/Area Number |
16530236
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
須藤 功 明治大学, 政治経済学部, 教授 (90179284)
|
Keywords | 経済史 / 金融論 / 思想史 / ブレトンウッズ体制 / 連邦準備制度 / H・D・ホワイト / M・エクルズ / L・カリー |
Research Abstract |
本研究は、第2次世界大戦後アメリカの連邦準備政策が抱えた問題をブレトンウッズ体制の構築に伴う通貨政策との相克に焦点を当てることで解明し、もって戦後アメリカ資本主義史の特質の一端を解明しようとするものである。 1.2年目にあたる本年度は、昨年度に遣り残した連邦準備制度理事会などの第一次史料を収集し、分析する作業を進めた。具体的には、アメリカ国立公文書館では連邦準備制度理事会の国際関係部門に関する、ブルッキングス研究所文書館では、同研究所が1954-56年に収集した連邦準備制度形成史に関する史料を調査し、入手することができた。 2.並行して収集した史料の検討を進め、その成果の一部を学会発表や雑誌論文のかたちで公表した。第1は、「市場の秩序と預金通貨の国家管理-ラクリン・カリーの100%準備案をめぐって-」(アメリカ経済史学会第48回全国大会、2005年10月9日、北海学園大学)であり、連邦準備制度理事会の政策立案の中枢部にいたエクルズ議長とその部下、カリーらによる通貨供給の集権的管理プランの政策意図を明らかにした。第2は、連邦準備制度理事会による通貨政策の集権化構想は、連邦上院銀行通貨委員会(ワグナー委員会)による「全国銀行通貨政策調査」へと展開した。本年度はこの調査資料の重要な質問項目に対する回答書を分析し、成果の一部を「アメリカにおける銀行監督・検査体制の再編問題-上院銀行通貨委員会アンケート調査(1940-4銀行監督・検査体制の1年)の分析-」(『明治大学社会科学研究所紀要』44巻2号、2006年3月)として発表した。ここでは、連邦準備制度(理事会、連邦準備銀行)、財務省通貨監督官、州政府(銀行監督部局)、各種銀行団体の銀行監督・検査の集権化プランに対する対応を分析し、連邦準備制度の構想が実現する可能性がきわめて低かったこと、しかしまた、銀行の公共性に対する認識が各当事者で政策に影響を及ぼすほどに高まっていたことを解明した。 3.来年度は収集した調査資料の分析をさらに進め、最終的な分析結果を公表する予定である。
|
Research Products
(1 results)