2006 Fiscal Year Annual Research Report
ブレトンウッズ体制と連邦準備政策の相克-H・D・ホワイトとM・エクルズ-
Project/Area Number |
16530236
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
須藤 功 明治大学, 政治経済学部, 教授 (90179284)
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Keywords | 経済史 / 金融論 / 思想史 / ブレトンウッズ体制 / 連邦準備制度 / H・D・ホワイト / M・エクルズ / L・カリー |
Research Abstract |
本研究は、第二次世界大戦後アメリカの連邦準備政策が抱えた問題をブレトンウッズ体制の構築に伴う通貨政策との相克に焦点を当てることで解明し、もって戦後アメリカ資本主義史の特質の一端を解明しようとするものである。 1.研究機関の終了年にあたる本年度は、これまで入手できなかった財務省や連邦準備制度などに関する第一次史料を収集し、分析する作業を進めた。具体的には、フランクリン・ローズヴェルト図書館では1934-45年の財務長官モーゲンソー文書及び1934-51年に財務次官を務めたクーリッジ(Coolidge, T.J.)文書、ニューヨーク連邦準備銀行では1941-1956年に総裁を務めたスプロール(Allan Sproul)文書などを調査し、関連資料を入手することができた。 2.これまでに収集した史料の分析をさらに進め、それらの成果の一部は論文のかたちで公表した。 第1は、「1930年代」(上川孝夫・矢後和彦編『国際金融史』有斐閣、2007年、第3章)であり、第二次世界大戦後アメリカの通貨金融政策の枠組みを形づくった1930年代の国際金融市場の展開を、内外の最新の研究成果に基づいて検討・整理し、本研究の研究史上の位置づけを明確にする作業をおこなった。 第2は、「アメリカ新自由主義の系譜--ニューディール金融政策と初期シカゴ学派」(権上康男編『新自由主義と戦後資本主義』2006年、第4章)であり、1930年代後半以降アメリカの通貨金融政策および戦後構想の実務を担当した財務省のホワイト及び連邦準備制度理事会のカリーに焦点を当て、ともに初期のシカゴ学派の通貨金融思想の影響を受け、また国内物価の管理に初発から重大な関心を持っていたことを明らかにした。 そして第3は、「金融グローバリゼーションの前と後--アメリカの銀行はどう変わったか?」(秋元英一ほか編『豊かさと環境』2006年、第9章)であり、1930〜1940年代の財務省・連邦準備制度による銀行監督・検査体制がアメリカの商業銀行の業務展開の実態とどのように関連していたのかを、バンク・オブ・アメリカの支店銀行・持株銀行の展開戦略にそくして分析し、アメリカ銀行業のダイナミズムの歴史的淵源の一端を示した。 3.現在、3年間に亘る研究成果をより包括的にまとめる作業を進めており、2007年度中に図書として公刊する予定である。
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Research Products
(3 results)