2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530237
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
勘坂 純市 創価大学, 経済学部, 教授 (20267488)
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Keywords | 労働地代 / 栄養 / 中世イングランド共同体 / 共同体 |
Research Abstract |
1.中世ヨーロッパでは、一定の土地を農民に与える代わりに労働賦役を提供させる「労働地代」契約が存在した。North and Thomasは、これを土地が豊蜜で労働力が希少な時期に、労働力を確保するために採られたシステムであると指摘している。しかしイングランドでは、彼らの主張とは逆に、労働地代が発展したのは、人口過剰で土地が希少であった13世紀であった。本研究では、この「労働地代」契約を、労働者に十分な栄養を与える効率的な労働力を確保するシステムとしてモデル化し、人口過剰期にそれが普及することを明らかにした。さらに、このモデルの予測はハンドレッド・ロールズのデータによって裏付けられた。 17年度は、この研究成果を、国内で2回、海外で1回それぞれ発表した。 (1)「土地所有・栄養・『農奴制』」2005年度 第74回 社会経済史学会 全国大会(4月30日) (2)「土地所有・栄養・『農奴制』」一橋大学経済研究所・経済発展研究会(11月20日) (3)"Landholding, nutrition, and "serfdom" : An economic analysis of labour rent in medieval England," The Berlin Colloquium : A workshop on quantitative history, (12月16日) 2.中世のイングランド農村に存在した相互扶助的な共同体関係をモデル化する作業に取り組んだ。共同体関係を市場関係との関係については、両者を対立的に捉える見解と、補完的に捉える見解が示されてきた。本研究では、いわゆる「共同体規制」の経済学的合理性を明らかにし、それが市場経済の発展を促す機能と妨げる機能をあわせ持つことを明らかにしている。
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