2004 Fiscal Year Annual Research Report
知的財産マネジメントと製品開発戦略の統合に関する研究
Project/Area Number |
16530244
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
永田 晃也 九州大学, 大学院・経済学研究院, 助教授 (50303342)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 晃 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (20054380)
平田 透 新潟国際情報大学, 情報文化学部, 助教授 (10249138)
篠崎 香織 東京富士大学, 経営学部, 専任講師 (50362017)
長谷川 光一 財団法人未来工学研究所, 研究員
|
Keywords | 知的財産マネジメント / 製品開発戦略 / ライフサイクル・マネジメント / 医薬品産業 / 特許戦略 / 専有可能性 |
Research Abstract |
本研究は、企業における知的財産マネジメントを製品開発プロセスと統合するための戦略論を構築し、また統合戦略の遂行に適合的な知的財産部門の組織構造を明らかにしようとするものである。われわれは、そのような統合戦略を志向しつつある顕著な事例として、医薬品産業における知的財産のライフサイクル・マネジメントに注目した。 本年度は日本の医薬品メーカーを対象にインタビュー調査と質問票調査を実施し、ライフサイクル・マネジメントへの取り組みの現状とその効果に関するデータ収集を行った。インタビュー調査は、主要4社(武田薬品工業、三共、山之内製薬、エーザイ)の知的財産部門マネジャーを対象に行った。質問票調査は、日本製薬工業協会、医薬工業協議会等に所属する医薬品メーカー191社を対象として2004年11月〜12月に実施し、46社から回答を得た(有効回答率23.8%)。これまでの分析から明らかになった点は、以下のとおりである。 新薬の開発に巨額の研究開発投資を必要とする創薬メーカーでは、自社オリジンの製品から得られる利益の専有可能性を高めることを目的として、近年、知的財産のライフサイクル・マネジメントへの取り組みを強化している。すなわち、それは新規化合物の物質特許の取得に止まらず、関連する製法特許や用途特許を計画的に取得し、物質特許が維持できなくなった後も、それら周辺特許のクレームで後発品を排除することによって事実上の権利期間を延長させ、製品ライフサイクル全体を通じて研究開発投資を回収しようとする戦略である。われわれの調査データによれば、研究開発志向型メーカーのほとんどが、すでに何らかの形でライフサイクル・マネジメントに取り組んでおり、その戦略は実際にライフサイクルの長期化や後発品の参入排除に奏効している。また、その過程では、公式プロジェクト・チームの設置などにより、部門間連携の強化が図られていることも明らかになった。
|
Research Products
(6 results)