2004 Fiscal Year Annual Research Report
日本、米国およびドイツにおける成果主義賃金制度の国際比較研究
Project/Area Number |
16530251
|
Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
正亀 芳造 和歌山大学, 経済学部, 助教授 (50126497)
|
Keywords | 成果主義賃金 / 査定 / 賃金制度 / 人的資源管理 / 日本:アメリカ:ドイツ |
Research Abstract |
本年度は、ドイツおよび米国企業への聞き取り調査を実施するとともに関連文献の収集を行った。併せて、収集した資料・情報の分析に着手し、その研究成果の一部としてドイツにおける成果主義賃金に関する論文を発表した。 日・米・独3カ国の成果主義賃金制度の比較研究を行う第一歩としてドイツのそれに関する事例研究を行った。この研究からドイツの成果主義賃金制度に関して興味深い事実として、次の4点が明らかになった。 (1)労働協約の適用対象である労働者・職員に対しても成果主義賃金制度が適用されている事例(金属産業の企業)がある。この場合の成果主義賃金制度には、「標準賃金」と査定に基づく「業績手当」の2タイプがあった。特に、後者の業績査定の適用に関しては、組合員・非管理職にも査定が行われている日本との共通性が認められると同時に、組合員には査定が行われないといわれる米国との相違を示すものといえよう。ただ、査定を含む成果主義賃金制度を採用していない事例(化学産業の企業)もあるので、これをもって直ちにドイツ的ということは、必ずしも適切とは言えない点は留意する必要がある。 (2)組合員に査定を行う場合、査定に関して組合ないし従業員代表による関与が制度化されていることである。査定に関する従業員代表の関与は、次の2局面で行われている。(1)考課表の作成、つまり評価項目および評価項目別の評価段階規定とその評点の決定への関与。(2)査定結果に対する異議申し立てと苦情処理への関与。聞き取り調査の結果、査定結果に対する従業員からの異議申し立ても少数ながら存在し、しかも査定結果が修正されたケースも認められることから、従業員代表の査定プロセスへの関与は有効に機能しているとみることができる。 (3)査定に用いられる評価シートに関して、評価者のみならず被評価者の署名欄が設けられていることである。これは、査定・評価の公開度(評価基準の公開と評価結果の被評価者へのフィードバック)をみる上で見落とせない点である。 (4)管理職層に対して、2事例ともに成果主義賃金制度として年俸制を採用していることである。この点で、管理職年俸制が近年顕著に普及しつつある日本の動きとの共通性を認めることができる。
|
Research Products
(1 results)