2005 Fiscal Year Annual Research Report
コンテンツ産業の組織戦略と産業集積の研究:映画産業における革新過程の日欧比較分析
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16530255
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
山田 仁一郎 香川大学, 経済学部, 助教授 (40325311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 勝 青山学院大学, 経済学部, 助教授 (80348458)
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Keywords | コンテンツ開発 / 映画産業 / 革新 / 組織戦略 / ネットワーク / 日欧比較 / 企業家 / プロデューサー |
Research Abstract |
本年度は,全体の計画の中で次のような課題のタームであった。(1)マクロ組織レベルの国際比較調査の実施年度と位置づけ、(2)日欧において主に映画産業におけるコンテンツ開発を進めていくための基盤・制度インフラに焦点を当てて共同研究を行っていく。我々は、東京地域を中心に集積するクラスター段階なろうとする映画制作プロダクション企業のキー・プレーヤーの活動やそのネットワークの変化に焦点を置いたインタビュー調査を踏まえて、国内企業の動向に知悉したキネマ旬報映画総合研究所からの情報提供をもらいながら、約1999〜2004年における現代日本映画産業における高業績製作スタッフのネットワーク分析を実施するための、データベースの構築作業を行った。映画製作における製作チームを対象にし、ネットワーク分析を行うことによって、競争力のあるチームを特定し、その特徴を吟味することが可能になる。また、欧州(ベルリン)において、海外共同研究者との打合せとともに、欧州組織学会(2005年度)での研究経過の学会報告を行った。その際、国際比較を実施するための海外フィールド予備調査を行った。 本研究は、これらを踏まえた上で芸術的評価だけでなく財務的成果に関する変数をも従属変数に加え、日本の映画製作スタッフのネットワーク構造の影響を定量的に分析することで、芸術的評価と財務的成果の関係について、もう一度深く考察し、検討を行っている。具体的なネットワーク分析の結果、これらのハイパフォーマンスの作品群のなかに10個の主要な製作チーム(組)が存在することが見つかった。さらに、これらの10個の組は明らかに財務的成果を重視している3組(グループA)、芸術的評価を重視している3組(グループB)、そして双方についてハイパフォーマンスの4組(グループC)に分類ができた。これらの研究の結果から、産業のネットワーク組織におけるソーシャル・キャピタル理論の導入による、高業績チームの構造メカニズムについての理論的考察が行っており、欧州各国のコンテンツビジネスの実像との比較が明らかとなりつつある。 特に、欧州との比較において、その人材育成機関の機能の役割と企業の組織戦略との関係、業界のネットワークの特質や、その製作チームメンバーのキャリア段階に応じた適正な評価体制の欠如等、経営戦略・政策支援上の課題は多い。こうした状況を踏まえ、次年度も組織学会(2006年6月、青山学院大学)、'欧州組織学会(2006年7月:ベルゲン)、Association of International Business (2006年6月:北京)において報告予定(それぞれ受理済み)である。
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Research Products
(7 results)