2005 Fiscal Year Annual Research Report
医療施設経営者の経営戦略と意思決定に関する実証的研究-意思決定行動モデルの開発-
Project/Area Number |
16530260
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
坂梨 薫 横浜市立大学, 医学部, 教授 (60290045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安川 文朗 同志社大学, 研究開発推進機構, 助教授 (90301845)
戸梶 亜紀彦 広島大学, 大学院・社会科学研究科, 助教授 (60264917)
石野 レイ子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 助教授 (60321220)
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Keywords | 意思決定 / 病院組織 / 病院長 / 経営戦略 / コンフリクト |
Research Abstract |
平成17年度は、組織としての病院が、経営の安定、財務の健全化を目指し、経営の効率化と医療の安全と安心というトレードオフの課題に対し、生き残り、発展する病院となるために、トップマネージャーである病院長がどのような戦略的な意思決定を行っているのかアンケート調査を行い、協力の得られた8病院の院長に戦略的意思決定に関すること、組織運営に関すること等についてインタビューを行った。 アンケートに回答した102施設中99施設において、過去5年間に何らかの新規プログラム導入に関する意思決定が行われていた。内容的には高度先進医療機器、オーダリングシステムの導入、病床の再区分が約50%の施設で実施されており、決定までにほとんどの施設で問題意識の表明・明確化、導入目的の提唱、情報収集及びシミュレーション提示され、病院の最高会議で検討され、最終的な承認は病院長の割合が多く、このプロセスは一般企業で行われる意思決定プロセスと同様であった。但し代替的選択肢の提示は少なかった。新規導入プログラムについては、創造的な内容はなく病院経営の中で数多く行われているものを当該病院に状況に応じて選択しているという状況であり、電子カルテなどの巨額の費用や投資が必要な意思決定は病床規模で有意な差がみられていた。 8人の病院長のインタビュー結果では、病院経営は理念や使命より設置主体の意向に左右される傾向が伺えた。経営の最優先課題は地域住民への質の高い医療の提供や、経営収支を黒字にすることなど、病院の地域性や財務状況などで異なっていた。但し共通していたのは、昨今の医療改革に対しては敏感に反応し、経営に関する意識が高いということであった。 今回の調査から、病院のトップマネージャーとして必要な資質として、判断力、決断力、統率力、ネゴシエーションであり、病院組織の意思決定には外部環境、組織内風土、トップマネジメントの資質が影響していると考えられた。
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