2007 Fiscal Year Annual Research Report
経営の多様性に関する事例研究:イスラーム経営とグローバル経営との比較を中心として
Project/Area Number |
16530263
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Research Institution | Sakushin Gakuin University |
Principal Investigator |
櫻井 秀子 Sakushin Gakuin University, 総合政策学部, 教授 (60203345)
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Keywords | イスラーム金融 / イスラーム的経営 / 異文化経営 / グローバル経営 / 社会的責任投資 / 企業倫理 / 文化多元主義 / アジア |
Research Abstract |
最終年度である本年度は、研究総括としてイスラーム的経営のなかでもイスラームにおけるコンプライアンスと、それにもとついた金融市場の動向を中心にまとめた。本研究が開始された4年前と比べ現在では、世界におけるイスラーム圏の経済力は原油価格の高騰にともない飛躍的に向上した。特にイスラーム金融市場は、アメリカ市場がサブプライムローン問題などで低迷するなか、その救世主としても注目を集めている。グローバル経営においても重要なコンプライアンスだが、イスラームではイスラーム法にもとついた「シャリーア・コンプライアンス」でなければならず、それがいかなるものであるかについて検討を行なった。そこでは実体性が重要な鍵となるが、別の側面として、市場が交換の場として健全に機能するために、贈与を必須とすることを分析した。本研究では、イスラーム的経営の特性のみならず、それによって逆照射されるグローバル市場のかかえる問題点を提起し、現在のグローバルな傾向として顕著な、先進国中心主義の交換一元的な市場至上主義について検討した。そしてその過程において、グローバル市場を多様な地域、ビジネス・エートスが形成していることが明らかとなった。 さらに中国的経営について、仏教、儒教、道教の教えから導かれる経営思想について検討を開始した。関係性を重んじる経営として日本的経営、イスラーム的経営、中国的経営に共通点が見出され、グローバル市場が今後シフトしていくであろう、アジアにおける新たなビジネス・エートスとそこにおける多様性の方向性について考察し、次の新たな研究につなげた。
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Research Products
(1 results)