2004 Fiscal Year Annual Research Report
日本企業の事業再構築と進出・撤退行動の分析-日中韓の事例を中心として-
Project/Area Number |
16530267
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
今口 忠政 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (40102941)
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Keywords | 事業再構築 / 事業再編 / 海外拠点のマネジメント |
Research Abstract |
近年、日本企業は事業そのものを分割して子会社化したり、あるいはスピンアウトして事業を切り離すことによって、本業に集中する戦略をとる企業が多くなってきた。また、事業構造そのものの再構築によって、海外に展開した事業を他の国に移転させたり、あるいは海外事業そのものから撤退して現地企業に譲渡する行動も目立っている。 平成16年度は、事業再構築を積極的に進めている企業の現状を把握し、事業再構築がどのような経緯で進められたのか、事業再構築によって、事業そのものがどのように変化したのか、事業再構築によって人材はどのように処遇されたのか、等について主にインタビュー調査を中心に実施した。次年度に計画されているアンケート調査項目を作成するために必要とされるものではあるが、実際に担当者を訪問して現状の説明を聞きながら、現場を視察することができたことは、研究課題を遂行する上で大変有意義なことであった。 具体的にはブラザー工業は、中国のシンセン、西安に大規模工場を持ち、特に中国への生産移転を積極的に進めている企業である。ブラザー工業へは、本社、本社工場、中国上海にある販売拠点を訪問し、事業再構築の現状を詳細に聞くことができた。また、オムロンも業績の悪化に直面して積極的に事業の再編を進めている企業である。東京本社での事業再構築の概要の説明、熊本県にある生産子会社での聞き取り調査、子会社の傘下にある事業の分離・独立のケースの聞き取り調査、韓国事業を現地法人に移転したケースの聞き取り調査など、事業再構築に関する多大な事例を調査することができた。 次年度は、これらのケースから得られた資料を基にアンケート調査を実施し、現状と問題などを明らかにするとともに、中国・韓国をめぐる事業再構築についてさらに詳細に調査したいと考えている。なお、今年度のインタビュー調査の結果は、学術論文として執筆する予定である。
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