2006 Fiscal Year Annual Research Report
デリバリー・プロセスを構成する活動の主体的・空間的・時間的移転に関する考察
Project/Area Number |
16530282
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
藤村 和宏 香川大学, 経済学部, 教授 (60229036)
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Keywords | 多角化 / 多店舗化 / ブランド力 / 市場変更 / 現地化 |
Research Abstract |
サービス・デリバリー・プロセスを構成する活動の主体的・空間的・時間的移転は、サービスの特性、ブランド力、デリバリーに関するノウハウの蓄積や移転可能性によってどのような影響を受けるのかを明らかにするために、老舗サービス組織を対象として量的調査を実施した。また、中国に進出している日本の小売業者と美容院を対象に質的調査を実施し、活動の海外移転における標準化と現地化、海外移転に不可欠な要素などについて考察を行った。両調査によって多くの知見を得ることができたが、主なものは以下の通りである。 1.ブランド力は多角化の促進要因として機能 営業年数の比較的長い料亭・旅館と飲食店を対象に量的調査を実施したが、飲食店においてよりも、料亭・旅館においての方がブランド力は多角化を促す要因としてより強く働いていた。この結果は、料亭・旅館の方が蓄積しているデリバリーに関するノウハウの質・量が優れており、さらに高い信頼を形成していることによると考えられる。しかし一方で、ブランド力の高いサービス組織では、その力を保持・強化することを目的としてか、多角化や多店舗化を抑制する傾向も見られた。 なお、老舗サービス組織を調査対象としたのは、営業年数が長いほど経営資源が蓄積されており、活動の移転を行いやすい、と考えたからである。 2.ノウハウの移転可能性は多店舗化の促進要因として機能 3.ブランド力は海外移転の必要条件 中国では食習慣や小売サービスに対する期待、労働形態などが日本とは異なっているために、日本の小売店舗のシステムをそのまま移転することはできず、かなりの程度に現地化が必要とされていた。しかし、ブランド力(信用力)を基礎にしたサービス・デリバリー・システムによって市場や労働者を日本に近づけることが可能になっていた。この傾向は美容院でも見られ、現地適合を図りながらも市場変更が進められていた。
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Research Products
(1 results)