2004 Fiscal Year Annual Research Report
ディスクロージャー規制における会計監査の保証効果に関する国際的・実証的研究
Project/Area Number |
16530311
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
松本 祥尚 関西大学, 商学部, 教授 (30219521)
|
Keywords | Sarbanes-Oxley法 / アメリカ証券取引委員会 / 規則主義 / 原則主義 / 監査報酬 / 独立性 |
Research Abstract |
2001年12月に破綻したEnronのケースに代表される会計スキャンダルに起因して成立したSarbanes-Oxley (S-O)法のなかで、他の会計スキャンダルに関する調査がアメリカ証券取引委員会(SEC)に対して命じられた。本研究では、当該調査報告書のなかでSECが調査・処分した事例をもとに、アメリカにおける会計スキャンダルの実態を捕捉するとともに、アメリカの会計基準が規則主義指向(Rule-oriented)会計基準から、目的指向(Purpose-oriented)会計基準へと向かう経緯を検証した。 また同時に、SECが監査人の独立性喪失の主たる原因として指摘した監査報酬に対する非監査報酬の多さについて、問題企業が監査人に支払った各種報酬を統計的に処理することによって、SECの想定とは異なり、むしろ監査報酬の多い企業ほど、当時、問題が多かった点を明らかにし、SECによるコンサルティング業務の分離要求が、理論的根拠に基づくものではなく、会計士業界に対する社会的批判を前提にしたものである可能性を指摘した。 さらに会計基準と異なり、独立性を規制する監査基準については原則主義対規則主義という争点は存在してこなかったことを確認した。具体的には、監査人を規制するSECが、監査業務上問題のあったケースを分析し、そこに検出された監査人の独立性違反の具体的事案を、禁止事項として事後的に規制してきた点から、監査人の独立性に対して、SECは規則主義による事後的規制を採ってきたことを明らかにした。しかし、2002年7月のS-O法以降、SECは独立性が侵害される可能性のある事項を予め禁止する、という事前的規制に転じた。この事実関係について、SECによる調査報告ならびにSEC登録企業の年次報告書から検証した。
|
Research Products
(2 results)