2005 Fiscal Year Annual Research Report
ディスクロージャー規制における会計監査の保証効果に関する国際的・実証的研究
Project/Area Number |
16530311
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
松本 祥尚 関西大学, 商学部, 教授 (30219521)
|
Keywords | Sarbanes-Oxley法 / アメリカ証券取引委員会 / アメリカ公認会計士協会 / レビュー業務 / 監査報酬 / 期待ギャップ / 保証水準 / 国際監査・保証業務基準 |
Research Abstract |
2000年のアメリカ証券取引委員会(SEC)規則による重要なディスクロージャー規制の一つが、監査報酬とそれ以外の報酬の開示を企業に強制している点にある。これは監査人の独立性に対する外観侵害を防止ないし抑制することに目的があり、2002年のSarbanes-Oxley(SOX)法においても同旨の規制が導入されている。このような規制は、同様の観点から、わが国でも導入され、2004年3月期より監査報酬の開示が、任意ではあるが、有価証券報告書において開始されている。このため、わが国で初めて開示された監査報酬データを分析に用いることで、わが国における監査報酬の多寡とクライアント側の特徴、或いは監査人側の特徴を描き出そうと試みた。しかしながら、ここで得られたデータからは、報酬データの不完全性もあり、監査報酬と監査人の特徴やクライアントの特徴との間に、はっきりとした有意な関係を見出せなかったため、より詳細な報酬データの開示が規制効果の分析には必要と推測される。 さらに、アメリカをはじめとして強制開示の主流となっている四半期報告書の開示規制について、当該規制とともにわが国で導入が検討されつつある異なる保証水準の証明業務(主としてレビュー業務)の必要性ならびに受容可能性について、アメリカ公認会計士協会のレビュー基準や国際監査・保証業務基準を参考にしながら検証し、保証水準の相違をクライアントならびに情報利用者に対して効果的に伝達することが、当事者間での期待ギャップを防止するために重要であり、その具体的方法について明らかにした。このような検討結果は、諸外国と同様のレビュー業務がわが国に導入されようとしている今、期待ギャップを生じさせないための規制を如何に講じるべきか、を示唆するものとして捉えられる。
|
Research Products
(2 results)