2004 Fiscal Year Annual Research Report
コミュニティ政策への環境社会学的接近-阪神・淡路大震災を契機として
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16530314
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鳥越 皓之 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (80097873)
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Keywords | NPO / コミュニティ / 阪神・淡路大震災 |
Research Abstract |
本研究は阪神・淡路大震災そのものを研究するのではなくて、この震災を契機にして既存の地域組織が、比喩的に言えば、一度"更地"になった現象に注目し、そこからどんな組織が形成・再編されるかを研究しようとしたものである。研究対象地は、主として、阪神地域ではあるものの、関心が地域組織の勃興や再編にあるため、他の地域も対象内に入っている。また、3年研究の初年度であるため、まだ研究成果として完結したかたちのものはできあがっていない。 本年度はとりわけコミュニティに注目し、形式的にしか存在しなかったコミュニティが震災を契機に、立ち上げてきた現象を主としてとりあげてきた。ひとつは震災地の県である兵庫県のコミュニティ政策とそれにもとづく地元の反応、もうひとつは神戸市内のあるコミュニティについてのかなりインテンシブな調査が一定程度のまとまりをもって資料集積ができたのが最大の成果といえる。この成果の一部は分析も進んで、それをまとめたものが、すでに学会誌での掲載が決定しており、平成17年度中に公表されると想定される。この論考は、震災にともない、コミュニティ構成員が孤立を感じている状況を鑑み、コミュニティのリーダーにあたるような立場の人びとがコミュニティ構成員に夢を与えるという動機のもとに、連帯感のあるコミュニティの強化に臨んだ例をとりあげたものである。 これらの研究に加えて、NPOについての基礎的なデーターの収集をはじめている。多様なNPOの基本的性格や、その目的や組織のありようなどについて、分類できるほどのデーターは集めたが、まだそれを分析するまでには至っていない。来年度および再来年度の最終年度までには形ができあがっているようになるだろう。
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