2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530318
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
伊賀 光屋 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (40108006)
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Keywords | 暗黙知 / ルーティン / 職業コミュニティ / 実践のコミュニティ / 周辺的参加 / 職業的アイデンティティ |
Research Abstract |
今年度の研究実績は次のとおりである。 (1)新潟県内の酒造コミュニティの二つのタイプ、すなわち出稼ぎ母村に形成されている職業コミュニティと蔵に形成されている企業コミュニティの二つの代表的事例である、頸城杜氏集団と朝日酒造に蓄積されている技能・知識の体系を、米作り、酒造り、商品開発と販売の三つの局面でインテンシブ・インタビュー法と参与観察法、および酒造計画の諸記録の分析によって比較分析した。その結果、杜氏の「身体に取り込まれた知識」は主として暗黙知の性格を帯び、口頭や文字による伝承が困難であること、また蔵に「埋め込まれた知識」は言語化されマニュアルとして保存されて座学とOJTで伝達が可能な技術となっていることを明らかにした。また、企業に知識を埋め込む際の方法としてのTPM活動とその結果として定着しているルーティンを実体的に明らかにした。 (2)現役の頸城杜氏の中で技能的に最も優れた杜氏である、峯村栄一氏へのインテンシブ・インタビューをグラウンデッド・セオリー(ストラウス&コービン版を修正した方法)のコーディング技法と理論生成法によって分析し、Salamanらの職業コミュニティのモデルとはことなる、生成モデルが浮上した。それは、分業に基づく協業という労働編成→和の重視という職業的価値→地縁的・血縁的リクルート→蔵内の労働と生活の共同による職業文化の再生産→母村での酒屋仲間の形成→クリークの形成→クリークの緩やかな結合体としての職業コミュニティの形成という循環的連鎖モデルである。
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Research Products
(3 results)