2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530318
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
伊賀 光屋 Niigata University, 人文社会・教育科学系, 教授 (40108006)
|
Keywords | 解釈主義 / グラウンデッド・セオリー / 編集整理法 / テーマ分析 / 社会実在論 / 相対主義 / 職業コミュニティ |
Research Abstract |
本年度はこれまでに行った調査研究においてデータ分析に用いた方法論を深化・拡充して「データに基づいた解釈的方法」(grounded interpretive method)を開発した。質的データの分析方法(テーマ分析法)には、従来、テンプレート整理法、編集整理法、没入/結晶化法の三つがある。我々は、編集整理法に含まれる、解釈的現象学の立場に立つAddison&Packerらのデータに基づく解釈的研究法を展開して、それをグラウンデッド・セオリーの方法論の用語に読み替えた。そうすることで、一方で、GTの解釈学的方法論の立場を鮮明にするとともに、他方で、ブルーマーのシンボリック・インターアクショニズムの基本的立場を踏襲する、GTの哲学的基礎(存在論では社会実在論、認識論では相対主義)を再確認し、編集整理法の方法との一貫性を確立した。 この方法は、(1)研究者の理論的諸前提の括弧入れによる現象学的還元、(2)対象者が精通しているヴァナキュラーな認識の吸収による解釈的循環の前提の確立、(3)ヴァナキュラーな認識の括弧入れ、(4)話者への非構造的聞き取り、(5)理論的サンプリング、(6)理論的飽和が達成されるまで(4)と(5)を繰り返す、(7)音声データのトランスクリプト化、(8)テクストのテーマ分析(Boyatzisの手続きの実行)、(9)発見されたテーマに沿った典型的話者の物語の再構成、(10)プロトコル命題に還元可能な理論語による暫定的命題群(グラウンデッド・セオリー)の確立、の諸段階からなっている。 典型例としては、峯村栄一杜氏の職業コミュニティーの物語を再構成した。
|
Research Products
(2 results)