2004 Fiscal Year Annual Research Report
福祉コミュニティの研究-身体障害者福祉モデル都市事業の検討を中心として-
Project/Area Number |
16530319
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
平川 毅彦 富山大学, 教育学部, 助教授 (80189828)
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Keywords | 福祉コミュニティ / 身体障害者福祉モデル都市 |
Research Abstract |
1973年に身体障害者福祉モデル都市指定を受けた仙台市及び別府市に調査及び資料蒐集を行い、また関連するデータ収集のため、岡崎市・大分市でも調査を行った。現地においては、地元図書舘、市役所、議会事務局等々での資料閲覧と複写、関連施設の撮影、さらに関係者への面接調査によって、身体障害者福祉モデル都市指定当時の社会的背景析出および展開プロセスの確認に努めた。その結果、(1)戦後設立された国文療養所などへの長期入所者の社会的処遇をめぐり施設内外における議論や運動の展開過程として、障害当事者を中心として彼/彼女らの支援者から構成される福祉コミュニティの萌芽形態を認めることがでぎたこと、(2)またその中心には強烈な個性をもったリーダーが大きな役割を演じており、こうした存在抜きでは「福祉コミュニティ」形成は不可能であり、その実績が身体障害者福祉モデル都市指定に際して大きな要因になっていたこと、(3)とはいえ、当該地方行政及び同議会は必ずしもそうした存在を積極的には認めていたとは言い難いこと、そして、(4)今日の「福祉のまちづくり」を検討するうえでの基本的課題はこの時期にほぼ出尽くしていると言っても過言ではない、という四点を収集資料から引き出すことができた。しかし、指定から30年以上経ているため基本的資料すら残されていないケースも少なくない。研究2年目である平成17年度にはこうした基本的資料及び関係者をもとめて、さらに各地をまわる必要がある。
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