2004 Fiscal Year Annual Research Report
スティグマの相互行為的マネージメントと文化的構成の研究
Project/Area Number |
16530336
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
中河 伸俊 大阪府立大学, 総合科学部, 教授 (70164142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮脇 幸生 大阪府立大学, 総合科学部, 教授 (60174223)
工藤 宏司 大阪府立大学, 総合科学部, 助教授 (20295736)
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Keywords | スティグマ / 医療化 / カテゴリー化 / 女子割礼 / 女性性器切除 / ジェンダー / 不登校 / ひきこもり |
Research Abstract |
中河は、スティグマ現象についての基礎文献収集と文献リストの作成を進めるとともに、スティグマ論の整備にエスノメソドロジーのカテゴリー化研究が役立つことを示す論文を公刊した。また、スティグマと医療の関係を体系的に考察した『逸脱と医療化』の著者の一人、J・シュナイダー米ドレイク大学教授と学問的交流を行った。同教授を招聘し連続講演会を行う計画は偶発的事情(病気)のために中止されたが、講演の予稿の形で、医療化研究の四半世紀の展開のレビューの提供を受けることができた。さらに、富山市のいくつかの団体や施設を対象に、スティグマのノーマライゼーションのフィールド研究のための予備調査を行った。 宮脇は、アフリカの女子割礼/女性性器切除(FC/FGM)に関するこれまでの研究のレビューを行い、いかにしてこの慣行が、世界的な人権保護言説の中で問題化してきたのかを明らかにした。さらにFC/FGMは、伝統社会ではそれを行わないことがスティグマの感覚を喚起したが、世界的な問題化にともない、欧米におけるアフリカ移民の間で、FGM/FCを行うことが、欧米社会への同化を拒絶する民族アイデンティティの刻印として、独特のスティグマ感覚に転化していることを見出した。 工藤は、「不登校」「ひきこもり」について、それらがどのような文脈で語られるとき「当事者」や、親など関係の深い人びとにとって、スティグマ感覚をもたらすのか、という問いで研究を進めた。具体的には、それぞれの「当事者の会」「親の会」が出している出版物や手記などの二次資料の収集を行い、言説の付置を概観した。そこでは、「医療化」の経験が彼らにとってのスティグマ感覚につながる一方で、それが、スティグマの「パッシング」の感覚をももたらすという二重性を持つのではないか、という調査仮説を見いだした。
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Research Products
(3 results)