2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530339
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Research Institution | Ryutsu Keizai University |
Principal Investigator |
恩田 守雄 流通経済大学, 社会学部, 教授 (00254897)
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Keywords | ユイ / モヤイ / テツダイ / 共有地(コモンズ) / 互助システム / 制裁システム / 強制互助組織 / 共生互助組織 |
Research Abstract |
1.互助行為の類型化と互助組織の解明 互助行為はユイ(互酬的行為)、モヤイ(再分配的行為)、テツダイ(支援的行為)の三つに大別される。ユイは田植えや屋普請で典型的に行われた。モヤイは目的別に見ると共有地(コモンズ)の管理や道普請など村仕事の「公務型モヤイ」、共に助け合う「共済型モヤイ」、困窮者救済の「救済型モヤイ」に大別され、また提供する対象から労働力の「労力モヤイ」、モノを出す「物品モヤイ」、カネの「金銭モヤイ」に分類できる。テツダイは冠婚葬祭での手伝いが代表的な行為である。村落の互助システムは村八分に示される制裁システムを伴うことで維持されてきた。互助行為は「組」と「講」を活動単位として組織化されてきたが、これを生活圏から「地域互助組織」と「近隣互助組織」として捉え、またその機能から「自治」、「生産」、「生活」、「教養」の各互助組織に分類できる。 2.日本の村落社会における互助制度の歴史的系譜の探究 互助慣行が現在も強く残る沖縄諸島、鹿児島県の奄美大島、徳之島、与論島などの「シマ社会」を調査した。また村落で見られた互助慣行の事例として、青森県、秋田県、福島県、愛知県、滋賀県、愛媛県、広島県、島根県で郷土史(誌)の文献資料を収集し、その系譜について分析した。その中で特に会津藩や広島藩の「社倉」、福山藩の「義倉」、白川藩の「赤子養育制度」、また盛岡(南部)藩や八戸藩の「舫」、弘前(津軽)藩の「茂合」、さらに秋田藩の「感恩講」、小谷三志の社会奉仕活動、二宮尊徳や大原幽学の農村開発など、関連する近世の互助制度について調べた。これらは「五人組」など統制的な「強制互助組織」に基づく場合もあれば、自生的な「共生互助組織」も存在していた。この種の互助慣行は直接ではないが、その互助精神は現代社会に継承されているように思われる。
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Research Products
(2 results)