2004 Fiscal Year Annual Research Report
新たなる「グローバル市民社会論」の構築:国際市民運動の比較調査による分析
Project/Area Number |
16530342
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
野宮 大志郎 上智大学, 外国語学部, 教授 (20256085)
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Keywords | 市民社会 / グローバリゼーション / 社会運動 / デモンストレーション / 戦争 |
Research Abstract |
平成16年度は、日本社会の量的データ解析、同質的データ解析、日本の市民社会の時代比較推進、の三つの作業が予定されていた。いずれも順調に進み、研究成果も発表された。以下では、グローバル市民社会論にたいする新たな知見と執筆論文、データ・資料等の作成分析に分けて研究成果を記す。 <グローバル市民社会論に対する新たな知見> 市民の世界同時行動が起きたイラク戦争反対運動においても、いわゆる地球大の市民性をもつ市民の登場は見られなかった。各国の市民は、それぞれの国や社会の歴史特殊的な経験をもとに戦争反対運動に参加した。またグローバルな「集合的アイデンティティ」も見られなかった。 <論文執筆、データ・資料等の作成と分析> (1)、日本社会の計量データ解析:イラク戦争反対デモに参加した「市民」とはどのような市民だったかを計量的に把握した。この分析結果は、最初の研究成果である論文(「市民の攻防」2004年『ソフィア』所収)に結実した。(2)、日本社会の質的データ解析:計量的把握と並んで、戦争反対デモリーダー、オピニオンリーダーの発言、日本のNGOによる海外NGOとの提携交渉などを通して、日本社会の「市民」にグローバル性があるかどうかを探った。この研究成果は、海外研究成果発表(国際社会学機構世界大会(2004.7;於北京))に結実した。(3)、市民社会の時代比較研究:時代比較分析を行うため、国内でのデータ収集(1960年代の調査に基づく量的データの探索と発見、60年代の反戦運動史資料の収集、多数のNPO法人に対するインタビューなど)が実施され、大量のデータが収集された。収集された質的データの解析と量的データの解析準備が現在おこなわれている。
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Research Products
(1 results)