2004 Fiscal Year Annual Research Report
外国人労働者受入れ制度の定着過程〜技能実習制度創設10年間の経緯と日本社会の変容
Project/Area Number |
16530344
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
上林 千恵子 法政大学, 社会学部, 教授 (30255202)
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Keywords | 技能実習制度 / 外国人研修生 / 外国人労働者 / 国際労働力移動 |
Research Abstract |
1993年に発足した技能実習制度は、バブル崩壊後の不景気の時期にあっても、受け入れ実習生数を拡大している。発足後、この10年間に見られた変化は以下のとおりである。 1.制度の欠陥そのものが公表され、対策がたてられるようになったこと。 国際研修機構(JITCO)は技能実習制度が引き起こした問題(残業代の未払い、逃亡、安全衛生、パスポートの取り上げ)について積極的に公表し、受け入れ企業が同種の事件を起こさないように指導、キャンペーンをしている。それだけ、制度が定着したことを示していよう。 2.外国人研修生を受け入れ、派遣する中間団体や企業が増加したこと。 受け入れ企業が自ら外国人研修生を採用するのではなく、送り出し国と日本との間に立って、現地での人材の採用、教育、日本への送り出し、受け入れ先企業での生活指導などの人材サービスを一手に引き受ける団体、企業が増加した。こうした中間団体の増加したことによって、たとえば北海道では短期間に技能実習生が増大した。企業に独自のノウハウが不要となったからである。 3.技能実習制度の意味合いが技術移転から単純労働者受け入れへと変化したこと。 本来は、発展途上国への技術移転の一つとして開始された技能実習制度であるが、近年は技術移転というよりも人材派遣という性格が強くだされるようになった。その理由は、1)人材派遣業の社会的認知度が高まったこと、2)外国人単純労働者受け入れへの社会的反発が弱まったこと、の2点にあろう。
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