2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本における<老年期の華僑>の老後生活・介護状況・死の受容に関する実態研究
Project/Area Number |
16530347
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
鍾 家新 明治大学, 政治経済学部, 助教授 (10281552)
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Keywords | 老年期 / 華僑 / 老後の生活状態 / 介護状況 / 死の受容 |
Research Abstract |
平成17年度では、主に<老年期の華僑>の死の受容状態についての実態調査を行った。「国際客家文化協会」・「崇正公会」などの華僑団体の活動に参加し、多くの老年華僑に対する参与観察することができた。そのうちの11人の高齢者華僑の<死の受容>に関する詳しい聴き取り調査を行った。現段階の調査研究ではつぎのことが明らかにされた。 <1>多<の<老年期の華僑>は年金保険制度と医療保険制度が充実している日本で老後を送るという選択をした。しかし、少数の<老年期の華僑>は老年期を送るため台湾や中国大陸などへ帰国した。日本で生活し続けてきた<老年期の華僑>のほとんどは死を迎える場所として自宅か施設かに関しては、日本人の老人の考えに近く、できれば自宅で死を迎えたい。施設で死を迎えることに関しても抵抗が薄くなっている。これは<老年期の華僑>の死生観の多くが日本化されたと言えよう。 <2>しかし、青年期を台湾や中国大陸で過ごした多<の<老年期の華僑>は中国的な死生観を依然として固く守っている。その一つは祖先崇拝と「故郷感情」である。老年期を送るため、台湾や中国大陸へ帰国した少数の<老年期の華僑>の一つの主な理由は故郷で死を迎えたいことと死後の自分を祖先と繋がりたいことである。日本で死を迎えたい多<の<老年期の華僑>は日本で墓を造るだけではなく、台湾や中国大陸でもう一つの墓を造る傾向が見られる。つまり、両方の墓に分骨されたい。生前の華僑は境界人であり、死んだ華僑も<境界人>である。<老年期の華僑>の死の受容の形態は在日の<老年期の華僑>の社会的状況を表している。
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Research Products
(1 results)