2005 Fiscal Year Annual Research Report
まちづくりNPO・NGOの自立と連携に関する国際比較
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16530351
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
西山 八重子 金城学院大学, 現代文化学部, 教授 (10164617)
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Keywords | まちづくりNPO・NGO / アセット・マネジメント / 社会的企業 / ミッション / 組織の自立 / ネットワーク / 社会関係資本 |
Research Abstract |
平成17年度の研究目的としてあげたのは、おもに次の3点であった。 (1)まちづくりNPO・NGOが社会的ミッションを持続させていくために必要な組織の自立、それを可能にする事業経営について、実態と問題点を探ること。(2)まちづくりNPO・NGOが事業を媒介にしながら形成する他組織との連携について、連携の内容と意義などを明らかにすること。(3)民間非営利組織にみられる市民セクターの「公共性」についての理論研究であった。これらの研究目的を今年度どこまで明らかにしたのか、その概要を以下にまとめる。 (1)まちづくりNPO・NGOが社会的企業として事業展開しているイギリスのまちづくりトラストの事例を、平成16年度に引き続いて調査した。ロンドン都心のコイン・ストリート地区の事業体(CSCB)、ウエストウェイ、イースト・ロンドンで事業化を行なっている環境トラストなどから、事業経営の実態とアセット・マネジメントの手法などを詳細に分析することができた。さらに、まちづくりNPO・NGOの社会的ミッションとしてあげられる、環境に配慮したサステイナブルな開発について、スペインのバルセロナと環境トラストなどを比較する調査も実施した。アメリカ、日本の都市成長管理について文献調査を中心に研究し、それらとの比較の上でヨーロッパのサステイナブル・シティの可能性を著書論文にまとめた(次頁参照)。 (2)イギリスの事例調査で、まちづくりNPO・NGOが具体的な事業を実施する場合、政府(中央・地方)、民間企業、地域住民諸組織、ボランタリー団体などとパートナーシップやネットワークを形成しながら進めている実態を明らかにし、それらの諸組織の連携がもっている意味について考察を行なった。これについては平成18年度に論文にする予定である。さらに日本で成果をあげているまちづくり団体が、地域の資源を発掘し、地域の内発的発展につなげていく時、どのような集団が相互に連携しているのかを調査し、「社会関係資本」について考察した。調査したまちづくりは、三島グラウンドワークの活動、川越市の町並み保存と中心市街地活性化の活動、CS神戸の福祉的な活動、湯布院の地域産業と観光を連携させる活動などである。 (3)市民セクターの「公共性」問題については、現在、各領域で焦眉の課題となっている。多くの講演会に出席し、現段階でどのような議論に達しているのかを勉強してきた。さらに藤田弘夫氏(慶応義塾大学)との研究会(4月、1月)で現実社会と概念形成との関連を歴史的に検討してきた。しかし、文献講読、事例研究の分析視点など残された課題は多く、来年度も引き続き検討する予定でいる。
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Research Products
(1 results)