2004 Fiscal Year Annual Research Report
フランスにおける地域文化振興と社会構造に関する社会学的研究
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16530362
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Research Institution | Hiroshima Kokusai Gakuin University |
Principal Investigator |
定松 文 広島国際学院大学, 現代社会学部, 助教授 (40282892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴巻 泉子 名古屋大学, 大学院・国際言語文化研究科, 助教授 (70345841)
佐野 直子 名古屋市立大学, 人文社会学部, 助教授 (30326160)
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Keywords | 地域文化 / フランス / 社会構造 / ブルターニュ / アルザス / オクシタニー / コルシカ / EU |
Research Abstract |
各自の担当地域の先行研究から地域の特徴について知識を共有し、「文化」の概念について検討し、具体的調査対象と内容について検討した。その中で明らかになったこと、および来年度の課題は以下のことである。 文化的な活動について(1)経済活動を担う組織(公的・行政的活動、私企業の活動、Associationの活動、第三セクター的な活動)、(2)経済活動における「売られる商品」としての地域文化を検討し、地域振興の「文化」が多様であり、地域ごとに差があることが明らかになった。「地場産品」あるいは文化・言語・音楽などの「ソフト」を売る行為において、そこにはローカルな市場とグローバルな市場開拓戦略がある。1)ブルターニュではグローバル戦略の成功・出版の流通・ケルトブームという事例から地域主義運動(Militantisme)から「アイデンティティをまとう若者世代」への担い手の変化が指摘された(鶴巻)。2)アルザスでは相対的なローカル市場の安定と衰退・Militantisme世代中心で、地域文化を表に出すことへの躊躇は第二次世界大戦下の被害者意識と加害者意識の問題性の表れと推察された(中力 研究協力者)。3)コルシカでは1968年世代よりむしろ80年代からコルシカのテロリスムの変化(秩序の崩壊)という地域運動の変化に伴い、地域文化の振興の担い手が地方名望家中心から若手Uターン組へ徐々に移行していることが考察された(定松)。4)オクシタニーにおいては地方ごとの大きな違いがあり、人くくりにしては分析に適さないこと、68年世代中心の「オクシタニー主義」(Occitanisme)=ラングドック帝国主義、極左のイメージなど内部に対立があることが示された(佐野)。 人口規模や経済状況、歴史の異なる多様な地域を比較研究するために、具体的に対象を「文化的祭典・活動」(Festivalに絞り、地域アイデンティティを売る/あえて売らない戦略、売れない社会的背景を次年度調査する。
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Research Products
(5 results)